新しいファンラン!街を楽しみながら走る建築見学ランニング
街中ランニングといえば、車をよけ、信号に引っかかり、ガタガタの歩道でつまずくなど、あまり風光明媚とは言いがたいが、そんな悪条件をむしろ「楽しみ」に変えてしまおうという新しい試み、それが「建築見学ランニング」だ。普通のランニングコースに飽きたなら、街の建築をじっくり観察しながら走るというアイデアはどうだろう?
最初の目的地は、古びたレンガ造りの倉庫。街の片隅にぽつんと残るその姿、歴史を感じさせるが、走っているランナーたちは「これ、どう見てもただの取り壊し前の廃墟じゃない?」とツッコミが止まらない。ガイドが説明を始めると、突然立ち止まるランナーたち。「あ、やっぱりここも写真タイム?」と、スマホを構える者もいれば、「いや、足がパンパンだから休みたいだけなんだけど…」と素直な感想を漏らす者も。どうやら建築の魅力よりも、自分の疲れ具合を理由にしたストップが多いらしい。
次は、最近できたばかりの高層マンションだ。「なんか、この窓のデザイン…ゲーム機のコントローラーに見えるんだけど?」「あれ、住人たちは一体どういうつもりでこのデザインに納得したのか?」と、みんなで勝手に建築批評が始まる。そこへ地元のおばあちゃんが通りかかり、「これね、デザインがいいからって高くてさ、でも中身はただの狭い部屋よ!」と、リアルな住民の声をいただく。建築だけでなく、地域の生きた声まで楽しめるのがこのランの醍醐味だ。
次に訪れたのは、歴史的建築の大聖堂。ここはさすがに、みんな息を呑んでしばし静かに見入る。「やっぱり壮大な建築って、見るだけで心が洗われるね。」と、一人のランナーがつぶやいた瞬間、「まあ、足の汗で心どころか体も洗われてるけどね!」と、すかさずツッコミが入る。ここでもランナーたちの余裕のなさが伺える。
そして、最後の目的地は、意外にも地元の商店街。「このボロい看板も、一種の歴史的建築といえるんじゃない?」と誰かが冗談を言うと、「確かに、昭和の香りがプンプンするな!」と、全員が大笑い。結局、何の建築を見に来たのか分からなくなるが、それでも楽しい思い出がたくさんできたのは間違いない。
建築見学ランニングは、単なる体力作りではなく、文化と笑いに溢れた新しい楽しみ方だ。次の週末、いつものランニングコースに飽きたら、ぜひ街の建物をじっくり観察しながら走ってみてほしい。もしかすると、普段は気にも留めない風景が、新たな発見に満ちた「ファンラン」に変わるかもしれない。