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トレイルランと1990年代j-popミュージック

トレイルランニングといえば、自然の中で静かに自分と向き合う時間…と言われることが多いが、私にとってはまったく違う。山道に足を踏み入れると、頭の中で流れ始めるのは1990年代のJ-POP。まるで私のランニングは、90年代のミュージックビデオの一場面。スニーカーを履く瞬間から、脳内BGMはすでにドリカムの「未来予想図II」が流れ出し、山の中を駆ける未来を夢見ている。

トレイルランのスタート地点に立つと、心の中で流れるのはCHAGE & ASKAの「SAY YES」。もう、完全にプロポーズされる気分で坂を駆け上がる。しかし、現実は「これ、本当に最後まで走れるの?」と自問自答するだけのハードな登り坂。90年代のドラマのように「君を守るために!」というセリフを頭の中で繰り返しながら、足を必死に前に進める。でも、登りの途中でふと気づく。「守るべき君って誰?」そうだ、自分だ。自分を守るために、今日も走っているのだ。

そんなことを考えていると、山頂が近づいてくる。その瞬間、心の中で大黒摩季の「ら・ら・ら」が爆音で再生される。さあ、声を出して歌いたい気分だ!「夢ならばどれほどよかったでしょう…」と口ずさみたくなるが、息が切れていて無理。歌うどころか、息を整えるので精一杯。しかし、あの頃の自分がまさか山道で1995年代J-POPをリピート再生しながら走っている未来なんて、想像もしていなかったはずだ。

下り坂に差し掛かると、テンションは一気に上昇。ここで流れてくるのは、trfの「EZ DO DANCE」。足元が滑りやすい岩場でも、リズムに乗って軽やかにステップを踏む…つもりが、思いのほか転びそうになる。「EZじゃない!」と心の中でツッコミながらも、走り続ける。岩や木の根っこに足を取られるたびに、脳内DJはTRFのボーカルに謝罪してくる。「もう少し簡単な道にしてくれませんか?」と頼みたいが、それがトレイルランニングの醍醐味。

そして、トレイルランニングのゴールが見えてくる頃、脳内で鳴り響くのはスピッツの「ロビンソン」。最後の一歩を踏み出す瞬間、「新しい季節は〜」という歌詞が脳内でリフレインし、まるで新たな自分に生まれ変わるかのような錯覚に陥る。走り終わったあとの疲労感を、なんだか切なくロマンティックに感じるのも、この1995年代J-POPの魔力だろう。

結局、トレイルランニングは自然との対話だと誰かが言ったが、私にとっては「自分の90年代青春ドラマのサウンドトラックとの対話」。次回のランでは何を再生しようかと考えつつ、今日も私は山を駆ける。多分、次はglobeの「DEPARTURES」あたりで、山頂で一人ウルっときたい気分だ。

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