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ランニングにおける速くなりたい人の比率

まず最初に気づくのは、ランニングの集まりに行くと速くなりたいという人々が溢れているかのように見えることだ。しかし、これは見かけだけで、実際に「速くなりたい」と願う者の数は、意外と少ない。なぜならば、多くのランナーはそもそも「走る」という行為自体が目的なのだ。

たとえば、日曜日の早朝、公園を軽やかに走るランナーたち。彼らが全員、心の底で「速くなりたい!」と叫びながらランニングしていると思うだろうか?むしろ、多くの人は「昨日食べ過ぎたからカロリーを消費しよう」とか、「週に一度は運動しなきゃな」というような、もっと現実的で身近な理由で走っているのだ。速くなることよりも、走ることで自分を褒めたい、そんな願望が渦巻いている。

一方で、確かに「速くなりたい派」も存在する。彼らは、時間や距離を正確に計測する高価なスマートウォッチを腕に装着し、他のランナーに対して微妙に威圧感を漂わせている。しかし、その比率はどうだろうか?私の観察によると、10人に1人くらい、いや、下手したら20人に1人が真剣に「速くなりたい」と思っている程度だ。というのも、ランニングコミュニティの大半は「走るのが楽しい」派が多いのだ。

また、「速くなりたい」と言いながら、実際にはそうでない人たちもいる。口では「来年のマラソンに向けて頑張るぞ!」と言いつつ、心の中では「走った後のビールが楽しみ」とか、「今日のランチはどこにしよう」といったことを考えている。これらの人々は、表向きは速くなりたい欲求を抱いているが、実際には日々のストレス解消や社交のために走っているに過ぎない。

そして、もうひとつの興味深いカテゴリーがある。「速くなりたいとは思っていないけど、速くなることに気づいてしまった人たち」だ。これらの人々は、ただ毎日走っていただけなのに、気づけば周囲のランナーを追い越しているタイプだ。彼らは「え、私、速くなってる?」と驚きながらも、特にそのスピードに対して執着することなく、ただ走ることを楽しんでいる。

さて、速くなりたい派の比率については、このように考えられる。実際には、速さを求めている人はごく少数で、ほとんどのランナーは「走ることそのものを楽しむ」か、「走った後のご褒美を楽しみにしている」のである。もし、あなたが公園で走っているときに周りのランナーを見て、みんな速くなりたいんだろうなと思ったら、ちょっと視点を変えてみてほしい。もしかしたら、隣の人も「走り終わったら、あのカフェでパンケーキ食べよう」と思っているかもしれないのだから。

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深北男塾note
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