
トレイルランニングと読書の関係性
トレイルランニングと読書、一見まったく関係ないように思えるこの二つ、実は密接な関係があることをご存じだろうか。もちろん、走りながら本を読んでいるわけではない(そんなことをしたら木にぶつかるか、崖から転げ落ちるのがオチだ)。だが、トレイルランナーと読書家には共通する特質があるのだ。
まず、どちらも「忍耐力」が必要だ。トレイルランナーは、泥まみれの道や岩だらけの斜面をひたすら進む。一方で、読書家は分厚い本をじっと読み進める。難解な哲学書に挑むのは、まるで急な山道を登るようなものだ。途中で「これ、いつ終わるんだ?」と疑問を抱くが、なぜか止まらない。どちらもゴールが見えないのに、なぜか進み続けてしまうのだ。
そして、どちらも「景色」を楽しむという点で共通している。トレイルランナーは山や森の中で美しい景色を堪能する。これは、読書家がページをめくるごとに広がる新しい世界を楽しむのと同じだ。例えば、走っていて突然眼前に広がる絶景に息を呑む瞬間があるだろう。それはちょうど、本の中で壮大なクライマックスシーンにたどり着く瞬間のようなものだ。「おお、ここまで頑張って走ってきた甲斐があった!」という感覚は、「やっとこの物語の結末にたどり着いた!」という喜びと似ている。
しかし、トレイルランニングの「難所」にあたるのは、雨の日や暑すぎる日だろう。そんな日は、「今日は読書日和だ」と自分に言い聞かせ、ソファに沈み込む誘惑が襲ってくる。ソファの上でゆったりと本を読む時間もまた、ある種のトレイルなのだ。ソファと本の間を行ったり来たりするのも、ある意味で精神的なトレイルランニングかもしれない。
そして、トレイルランニングにも「登場人物」がいる。森の中で突然現れる鹿やリス、それに何より「ラジオ体操軍団」だ。彼らはあなたが息を切らして登る斜面で、なぜか完璧な体操フォームを披露している。読書でいうところの、予期せぬ登場人物に驚かされる瞬間とよく似ているだろう。まさかこの場所で彼らが現れるとは!と心の中で叫びたくなる。読書中も、急に現れるキャラクターや予想外の展開に心が踊る瞬間がある。それがトレイルランニングでも同じように起きるのだ。
最後に、どちらも「達成感」を与えてくれる。トレイルランニングで山の頂上にたどり着いた時のあの気持ち。息が切れて、足が痛くて、もう何もできないと思っていたのに、頂上からの景色を見た瞬間にすべてが報われる。それは、長い小説を読み終えた時の感覚と全く同じだ。苦労して読み進めた本が最後のページに達した時、心に満足感が満ちるのだ。
だから、次回トレイルランニングに出かける時は、心の中で一冊の本を読んでいるような気持ちで挑んでみよう。木々の間を駆け抜けるたびに、新しい章が始まり、見知らぬ登場人物が現れ、予測不能な展開が待ち受けている。そして、山頂にたどり着いた時、それはあなたの物語のクライマックスなのだ。トレイルも、読書も、どちらも終わりに近づくほど面白くなる。
いいなと思ったら応援しよう!
