デビスカップ ファイナルズ スペインVSオランダ スペイン観戦日記 11/19
ナダルの出るスペインVSオランダ戦チケットの再販価格が高騰していると言うニュースもあり、一時は私達もチケットを売ろうとしたが、BJKカップ初戦を見て、やはりデビスカップは見たい、という気持ちが高まった。生の試合観戦には独特の魅力があるし、それを地元のマラガで見られるチャンスはめったにない。その上20年も応援してきたラファの引退試合になるかもしれない、本当に特別な日だ。
まずは金色の襷を買って赤いフエルトでラファ応援襷を作る。ハートを付けよう。と言うとMさんは、私はいらない、と言っていたが、勝手に切ってつける(笑)。スペインの大きな国旗も買って、スペインの国旗は赤と黄色なので、今回も赤い洋服で応援だ。
スペインはデビスカップ優勝6回、準優勝4回の記録を持つ。優勝は全て2000年以降。そして20年前の2004年、当時18歳のラファはアンディ・ロディックに勝ち、スペインの優勝に貢献。そして早20年がたった。今回ラファは怪我もせず、無事にマラガに早めに到着。着々と準備をしているようだ。
2000年の優勝時のメンバーであったアレックス・コレチャは現在コメンテーター。彼は今日のインスタで、「いよいよこの日がやって来た。複雑な想いで会場に向かっている」と言っていた。全く同感。みんなこんな気持ちで会場に集まってきているのだろうか?
アムステルダムの日本人応援団の方の一人はLINEで、「オランダチームの選手は普段私達と同じクラブで練習していますが、今回はラファを応援します! 最後って考えただけで泣きそうです。」と書かれていた。
火曜日の平日17時開始だが、会場はほぼ満席。スペインの国歌がなり、ラファの顔が大画面に映っただけで、うるうるしてしまう。いよいよこの時が来たのだ。
なんと先発はラファ。今年のオリンピックの時のように、アルカラスとのダブルスが予想され、あちこちで報道されていただけに、これは意外だった。対戦相手はボティック・ファン デ ザンツフープ。自己最高世界ランキング、シングルス22位。一方ナダルはグランドスラム優勝22回。試合が始まったが、開催国であり、沢山いるはずのスペイン人側になんと応援団がいない!!? これにはびっくり。
試合開始。ラファのサーブで始まる。往年のような切れや伸びが玉に感じられない。一本一本丁寧に戦っている感じだ。応援の声はあちこちで上がるが、まとまりがなく、楽器や鳴り物もないので迫力に欠ける。4-5までは接戦だったが、ラブゲームでとられ、残念ながら第一セットは4-6で負けた。休憩時間にも応援の盛り上がりがなく、なんとなく皆放心している様子。会場には広告が流れ、BJK杯の時のような観客を映して盛り上げていくという事もなくて、残念。
第二セット。1-4で相手のアドバンテージ。これは大変。しかしラファが気合を入れて取り返し、ジュースに。会場は沸いた。Si se puede、 si se puede(大丈夫、できる!)とみんなが声を掛ける。そしてもち直しブレーク。 3-4になると A por ello Oe、A por ello Oe(がんばれ、立ち向かえ)というコールが会場全体に湧き上がる。しかしこの後オランダ人が持ち直し、結果は4-6でオランダの勝ちだった。ラファの選手としての最後の試合が終わってしまった。みんなまた何とも言えない気持ちになっている。
後で知ったのだが、この無名の選手はこの夏全米OPEN二回戦でアルカラスに勝った人だった。
2ゲーム目はアルカラス VS T.フリークスポール。
アルカラスはスペインでは彼の名前のカルロスの愛称、カルリートやチャルリーと呼ばれる。19歳でATPランキング史上初の10代の世界王者に輝き、その当時本人がそう呼んでくれと言ったので、その時の愛称のまま親しまれている。現在は21歳でATPランキング3位。今年はフレンチOPの王者ナダルに変わり、初優勝。ウィンブルドン連覇と記録をどんどん作っている。対戦相手のフリークスポールは40位。
第一セット初めは一ポイントずつ取っていたが、フリークスポールがブレイクし2-4に。しかしアルカラスがすぐに持ち直し、その後8ポイント続けて取り、対ブレイクに。会場の応援の甲斐もあり、7-0のストレート勝ちでまずは第一ポイント選手。ここで波に乗ったアルカラスは6-3のストレート勝ちをおさめ、1勝1敗に持ちこむ。
最終試合のダブルス、ナダルと同じく今大会で引退表明しているダブルスの名手クールホフがファン・デ・ザンスフルプとともに登場。対するスペインは第2試合で勝利をおさめたアルカラスが連続での参戦となり、こちらもダブルスプレーヤーのグラノジェルスと登場した。
試合は両ペアブレークを許すことなく第1セット終盤に突入。タイブレークでスペインは3つのブレークポイントチャンスを失い、オランダペアに振り切られセットを落とす。6-7(4)
それでも第2セットでは第3ゲームでチャンス、アルカラスがリターンエースを決め先にブレークに成功しリード。しかし、第8ゲームで再びタイブレークへ。オランダペアに先にミニブレークを許したスペインペアは、挽回することができず2時間11分で力尽きた。残念。
タイブレークでアルカラスのダブルス経験の少なさが響いたような気がする。もしも、アルカラスが初戦で勝っていて、第二試合は他の選手が戦い、ダブルスにナダルとグラノジェルスかアルカラスが出ていたらどうなっていたのだろう?勝ち進めたかもしれない。
結果、スペイン敗退が決定。ナダルはこれで現役引退となった。当然この可能性は感じていたが、ナダルの引退のあいさつを、本当に生で聞くことになってしまった。
オランダの勝者インタビュー、サインボールのプレゼントなどが終わり、いよいよラファのお別れコーナーが始まる。オランダの応援席の人たちのなかにも、ラファへのメッセージ横断幕を作ってきた人たちがいた。本当に世界の人たちから愛される選手だった。司会者の紹介で彼の挨拶が始まる前、観客はみんな「Gracias ありがとう」コールを繰り返していた。
まずは今日ここに来てくれた観客への挨拶。
「正直20年のキャリアを歩んできましたが、その中であなた方は良い時は私を波に乗せてくれ、悪い時は私がプレーを続けるよう背中を押してくれました。私はスペイン、そして全世界の皆さんとともに生きることができ、特にここスペインで国民全体の愛情を感じることができてとても感謝しています。」
全てが終わったのは夜中の1時近くだった。車に戻り、帰宅したのは2時ごろ。しかし頭の中にいろんな思い出や思いがうずまき、4時過ぎまで眠れなかった。
ラファ、本当に沢山の喜びと、緊張と、感動をありがとう。そしてテニスというスポーツを益々好きにさせてくれてありがとう。今日の思い出は、一生の宝物になりました。
これからはアカデミーで素晴らしい後輩たちをたくさん育てていくことでしょう。
¡Viva Tenis! ¡¡Viva Rafa!!