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35日目スペイン・ポルトガル 3,000kmのロードトリップスペインベテラン撮影コーディネーターのぶらり旅

35日目

今日はガウディのカプリッチョ邸を見にコミージャスに行く予定。これでバルセロナ以外にある3軒のガウディ作品を制覇、楽しみだ。ここまでは約50km30分ぐらいの道程。今日は移動日でもあるので、11時30分に予約をしてある。まずは荷物をまとめる。
10時過ぎに出発。Aは王立演劇学校時代にコミージャスの同級生の別荘によく来ていたそうだが、この建物は当時は公開されていなかったので、訪れるのは初めて。友人の祖母も貴族で、当時はブルジョアな生活をされていて、別荘も広い豪邸だったそうだ。
街に入ると車は渋滞、狭い車道と歩道には人と車が沢山。Uターンして、中心地から少し離れた道に駐車して、徒歩で向かう。

入口外観

入口を入ると手の行き届いた庭があり、マグノリアや紫陽花等が咲いていて、ガウディの好きなシダもある。建物の外壁には5月に行ったカタルニアのビスバルの陶芸店のファサードで見たものだった。きっとあの街で焼かれたタイルなのだろう。ガウディもあの街に行っていたのだ。受付で館内の案内ビデオがあると聞いたので、まずそれを見る。全体の間取りと解説、庭やファサード、太陽の形の煙突と、どれもガウディらしい細かい工夫が満載されている。階段を上がると家の真ん中にある温室。観葉植物の葉が丁寧に拭かれていて、素晴らしい。とても明るい広い部屋。ツアーガイド中なので一度外に出る。

庭と温室の植物と外観
ガウディワールド

庭も程よい大きさで花を愛でながら散策。家に戻り、それぞれの部屋とベランダに出て座ってみる。居心地のよい空間。タイル、木、鉄のアーツ&クラフトを使った、採光がうまくされている部屋はどれも明るく美しい。とても良かったので来年の壁掛け式カレンダーを買う。出口に向かうと行列ができていて、次に買えるのは2時間以上先のようだ。割とゆったりとゆっくり見られて良かった。

コミージャス

一度表通りに出て、裏に見えていた教会の方に行くと、ネオゴシック様式のコミージャス侯爵夫人のパンテオン礼拝堂、ソブレリャーノ宮殿が並んでいる。ガウディの建物で頭が一杯なので、外観だけ見て下に行くと、屋外マーケット。これで道が混んでいたと分かる。本当はゆっくり散策して、他にも見たかった建物もあったのだが、益々すごい人出なので帰ることにする。夏ではない時にまた来たい、美しい街。

車に戻ると通りがかりの女性が、あー罰金が皆に、と言う。えー。前は牧地で誰の邪魔にもならない空き地に停めたのだが、確かに通りには黄色い二重線がある。女性は気の毒だけど、ここはいつも警察が来てこうなるのよ。いくらなの?と聞かれたのでAが見ると40€。すぐに払えば半額。やれやれ。

おいしいランチと彼らの家

気を取り直して帰ると、Cがイカの煮物、ニンニクチャーハン、マッシュドポテトの魚介スープ味、茹でたネコラを作っているところだった。皆でサンタンデール最後のごちそうランチをいただく。ネコラは小さな蟹だが味はしっかりしていて、蟹だが味噌もあり、おいしい。皆無言で蟹と格闘する。口福。イカの煮込みも汁気たっぷりでとても美味しい。軽くシエスタをして、Mはまだ寝ていたので、Cにお別れをし、バスク地方、ビルバオとサン・セバスティアンの間にあるレケイティオに向かう。約150km 2時間ぐらいの道程。後半3/1位はくねくね山道で、どこに海があるのか全く見えなかったが、無事到着。

レケイティオの友人の別荘

ここは私の友人のAの出身地で、夏は別荘にいるので遊びに来るように誘われて行くことになった。彼らは今日まで仕事で、サン・セバスティアンに行っていたが、夕方から日曜日まで休みなので時間が取れるそうだ。2人はMarie de Jonghと言う劇団の団長と主演女優のカップル。2018年には国立舞台芸術賞を受賞した、スペインの児童演劇を代表する劇団で、Anaは最優秀女優賞をもらった事がある。彼らとはNHKの世界ふれあい街歩き ビルバオ編で知り合って以来のお付き合い。Jokinが書き、演出した無言劇の優れた作品が沢山あり、いつか日本で公演したいそうだ。私も是非日本の子供達に見せたい。そうなったら私がロードマネージャーをして、一緒に旅しよう、と言っている。どこかで出来ないだろうか?

約束の19時に待ち合わせ場所に行く。この街は夏の間住民以外は街の外にある有料駐車場に駐める決まりになっているそうだが、Anaの弟がバカンスでいないので彼の駐車場を使わせてもらえるようにしてくれた。感謝。お家は旧市街の2階建ての横に長い庭付きの家。周りは集合住宅なので、これはとても贅沢。私達専用のバスルーム、長男の部屋、隣の書斎を使わせてもらう。20年ほど前に大改装したそうだが、とてもきれいに使っている。

レケイティオは元漁村

荷物を置いて早速散歩に。家から坂を降りるとすぐに港。路地は朝の数時間を除いて歩道になっていて、生活感あふれる。彼らはすれ違う多くの人達に挨拶していく。彼らは普段バスク語で話す。これはスペイン語とは全く異なる言語で何を言っているか全く分からない。外国に来たようだ。(笑)

埠頭から見た町

埠頭では子供達が海に飛び込んではまた上がって来て飛び込む。中には大人や宙返りする人もあり、皆とても楽しそう。

すぐ近くに島がある

もう一つの防波堤は、J が初めて自分の村の青年たちと来て大波が一瞬にして彼らをびしょ濡れにした事があったそうだ。外海で結構波が高いのだろう。

階段に座ってワイン

夕飯に港の反対側の橋を渡った夏だけ営業するレストランを9:30に予約してくれたそうだ。しかし、市役所前のバルで飲み物を買って市役所の階段に座って飲むのがこの辺りの習慣だというので、座って待つとJがワインを買ってきてくれた。バスク地方では、通りで立ったまま、飲んで話す人達も多い。特に待ち合わせしなくても自然に知り合いと会い、特に夏だけ再会する人達も多いそうだ。彼らの友人達も何人も来て、そのうちの1人の友人が明日の夜屋外で80年代のロックコンサートをすると言うので、行こうと決める。

橋を渡る

時刻はすでに22:30、レストランに進む。トマトサラダ、アーティチョーク、アンコウを頼むと、ウェイトレスがコロッケを薦めてくれたので、二人で1つ頼む。ここは炭焼専門店。アンコウを開いて焼くのが絶品だそうだ。メニューは他にイカと牛肉があるだけとシンプルだが、どれもおいしいらしい。

焼き場

ここでもウェイトレスとの会話が全てバスク語。私達はお互いの近況、今回の滞在中の予定等、この街の事等を話す。彼らは普段劇団員の面倒も兄弟のようによくみる人達で、私達の訪問のために色々考えてくれていて感謝。彼らも休暇を一緒に楽しむから心配しないで、と言われる。

右下はアンコウの骨


料理はどれも完璧。アンコウの炭焼は1,5kg位のものにいろんな切れ目を入れて焼き、上にニンニクと唐辛子のオリーブオイルをかけたシンプルな料理だが、それだけに技術が光る一品。この地方特有の調理法で、私は初めて食べたが本当においしかった。その上ごちそうしてくれた。素晴らしいおもてなし。

家には息子2人も休暇で来ていた。長男は特殊学級の先生、次男はロンドンの演劇学校を卒業したばかりの、新米役者。これからが楽しみだ。次男はこれから夏の夜を楽しむらしい。スペインでは若い人ほど出足が遅い。夜中の3時に待ち合わせすることもある。私達はもうベッドに。

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