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日曜の午前は、和カフェで作戦会議。
冷たく冴えた冬の空気。ふいに射し込む陽光に思わず目を閉じる。
もうそろそろ待ち合わせの時間。
彼女の待ついつもの場所へ行かなければ。
こんにちは、極夜です。
彼女と合流し、なんとなくいつもの和カフェにやってきた。
12月ということで、季節限定の新商品がある。
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食べながら長女は、さらさらっと匙を使いアートを作成している。グリーンハート。マーブル模様。青海波。
そう、待ち合わせの彼女は、我が娘。
週に1度、習い事の終わるこの時間に待ち合わせて、カフェや図書館、書店で過ごす。家ではゆっくり本を読めないから。
食べ終わると、本を読みながら「おかあさん、雨雲アラーム来たよ。帰ろうか」と。
「ちょっと待ってね。わたしまだ食べ終わってない」
そう返してなんとなく彼女のカップを見ると、ほうじ茶が忘れられている。
何故いつもほうじ茶なのだろう。
彼女は抹茶を目当てに来ているはずが、気づけばいつもほうじ茶を飲んでいる。
「おかあさん、帰らないの?」
「もうちょっと待って、この章終わるところまで」
本読みは、酒呑みに似ている。
作戦会議は、歩きながらすることにしよう。
この何でもないゆったりとした時間は、彼女以外の誰かとは共有できない。性格は、似ているとも、正反対ともいえる。共通するのは、マイペースで本読みという部分。
誰にも邪魔されず彼女と読む。
1週間分の疲れが、彼女の纏う独特の空気によって
心地好く融けていく。
作戦会議終了。任務遂行のための買い出しを終え、帰路につく。長女は駅のホームに着くなり、ポケットからボトル…もとい、本を取り出す。電車内、駅の階段、道を歩きながらも読み続ける…
彼女がつまづいたりぶつかったりしないよう、声をかけながら隣を歩くわたし。…甘いな、まったくもう。そこは注意しておかないと。
さあ、そろそろ家に着く。
各自、任務につくように。
次は図書館へ行こうか。弟も本を待ってるから。
そういって彼女は、ドアを開けた。
もちろん、片手に本を持ったままで。
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