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エッセイ

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#エッセー

【母の遺作】忘れえぬこと 忘れえぬ人々①

【母の遺作】忘れえぬこと 忘れえぬ人々①

中富レポーターのこと わたしは、 一九九二年十一月現在、 四十八歳の障害者で、 出版物の少ない児蘆文学者で、 奥藁科大間ファンクラブ会長です。
 障害者になったのは、 十六年前。 クモ膜下出血で倒れたのが、 原因です。 その時の後遺症で、 左足が不自由で走ることはできません。 立っているだけで、けっ こう疲れるんです。 歩くためには、 全神経を集中させ て、 杖にすがらなければなりません。
 頭痛

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【母の遺作】女のエッセー

【母の遺作】女のエッセー

昭和63年(1988年)5月21日(土) 中日新聞掲載

病魔に教職を奪われ 家族の励まし「社会参加これしかない」

「あなたは童話を書き続けなさいよ」ー友人たちに言われると複雑な気持ちになる。「書くこととは、恥をかく事だ」と骨身にしみて思うからだ。

書くことが、こんなに自分をさらけ出す行為だとは知らなかった。でも、「あの時」は童話を書くことにすがってでもいなければ、どう生きようもなかったに違い

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