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2020年12月の記事一覧
【母の遺作】 すすきの村で その4
卒業生を送る会で祭り
校庭の桃の花も、さきほこって、いいにおいをさせていた。
五年生という学年も、もう半月ほどで、終了となる。
市子と、マリ子は“卒業生を送る会“で“祭り“をしようと、走りまわっていた。担任の八木先生も、校長先生も賛成して、協力するといっていた。
でも、心配なのは、今だに、一週間に一度、それも、職員室にしか、登校してこられない八重子を、みんなのわのなかにいれられるか、どう
【母の遺作】 すすきの村で その1
友達になったしるしに三百円… ひとりっ子のマリ子は、おとなしくて、すごく人みしりする性格だった。
それが、五年生の二学期に、町の団地から田んぼの中の一軒家に引越してから、すこしずつかわってきた。
きっかけは、隣りの五年二組の麻子だった。
まだ友達ができなくて、 一人で下校してきたマリ子を、麻子は、土手のすすきの中にねころがって、 まちぶせしていた。
「マリちゃん、いい服着てるねえー、あんたっ
【母の遺作】 すすきの村で その3
泣け、泣け、おもいつきり泣け「八重子ちゃーん、八木先生の手紙、持ってきたよ」
市子は、八重子の家にとびこんだ。
「いつも悪いねえ、市子ちゃん。八重子、ちょっと風邪ひいたらしくて…、熱があるのよ。ねかせてるんだけど、あがっていってくれる」
八重子のお母さんが、家の奥からでてきた。
「うん。おばさん。その前に教えてくれる?今、伸一兄さんと正吉じいさんにきいたけど、八重子ちゃん、祭りがすきだって?」
【母の遺作】 すすきの村で その2
モヘヤのセーターについたよごれ 台風が、かすってすぎた月曜の朝急に、気温が、さがった。
マリ子は、父さんに買ってもらったばかりの白いセーターをだす。
「あら、それは、おでかけ用じゃない。だめよ、学校なんかに着ていっちゃ」
母さんは、いったけど、マリ子には、みんなに見せびらかしてやりたい、気持ちの方が、ずうーっと強い。
母さんの声なんて、静こえないふりで、さっさと、 着がえをすませた。
「マ