ドラマ『琅琊榜』で学びたかった中国語~第三十七集①
残り話数3分の1の初回からお休みして申し訳ございませんでした。風邪をひいて出鼻をくじかれましたが、さっそくサブタイトル「謀士の覚悟」から見て行きます。
你站起来说
靖王を足蹴にした後、皇后から連絡のあった静妃の「大罪」について確認するため皇帝は後宮に向かった。結局それは、第三十二集で皇帝が静妃に依頼した位牌が見つかった事だったので、皇帝はそれを皇后など他の者たちの前では言えないし、その罪に応じた本来の重さで静妃を裁くわけにもいかなかった。
皇帝は静妃への処罰を禁足と俸禄の半減にしたが、それでも皇后がなかなか納得しなかったのを黙らせ、衛崢の件で話していたが中座した夏江・誉王・靖王がいる武英殿へ戻った。
ここで疑い深い皇帝は、静妃・靖王の母子が、赤焔事案関係で同じタイミングで窮地にたたされた事から、これらが仕組まれたことではないかと考える。そのため靖王への疑念が弱まった皇帝は武英殿に戻って話の続きを再開させるにあたり、跪かせたままにしていた靖王に言った。
▼你站起来说(nǐ zhàn qǐ lái shuō)
「你」は皇帝から靖王に対する二人称で、これを主語として皇帝が言葉を発しているため、この文は命令文になる。日本語ではこの部分を訳出すると不自然になることが多い。
「站」は「立つ」、「起来」は複合方向補語で色々なニュアンスや意味があるが、この複合方向補語があることで実際に「站」の動作が起きた後、「立っている」という結果が実現することに重きが置かれている。跪いている靖王にただ「立つ」という動作を促すのではなく、「立ち上がった後の状態」までを実現させるように言っている。
最後に「说(話す)」という動詞がついて「①立ち上がった状態で②話しなさい」という事になる。皇帝は実質的にきつい体勢である跪く状態でなくても良いという許可を出しているので、①と②の動詞は逆にすることができない。①の動作をして楽になってから②をしなさいという命令なのである。これを踏まえて字幕は「立つとよい」が加わり、皇帝の靖王への怒りが先ほどよりも収まっていることが分かるようになっている。
そのため、これを聞いた瞬間の誉王が怪訝に思うのを顔に出し過ぎないように努めているようだった。本来なら静妃が密かに供養していた宸妃の位牌は、静妃と靖王への決定的打撃になると思っていたからだ。
起来吧 起来说话
場面変わって静妃と跪く侍女で内偵だった小新。皇帝が杖刑で殺すよう命じていたが、静妃が処分を任せてほしいと願い出たのでまだ生きている。静妃が手を差し伸べながら小新に言ったセリフは、先ほどの皇帝が靖王に言った「你站起来说」と近い状況・言葉ですぐ出て来たので一緒に見ていきたい。
▼起来吧
先程の「起来」は方向補語だったが、ここでは動詞の扱いで「立ち上がる」「立つ」「起きる」などを意味する。最後に提案や要求、命令を意味する文末助詞「吧」がつく。
▼起来说话
「起来(立ち上がる)」+「说话(話す)」の構成で、動詞フレーズのみのためこちらも命令文になる。中国語の命令文は動詞フレーズから始まる今回のようなパターンと先ほどの皇帝のように二人称を主語にしたものとがある。
小新は静妃の手を取らずに自分で立ち上がった。ふてぶてしい態度で自分が何を間違って内偵だとバレたのか静妃に問う。小新は静妃のそばにいた割には静妃を侮っていたのだな・・・若いから仕方ないかな。静妃は小新に生き延びる条件として、離間の計の顛末を靖王に洗いざらい話すように言う。
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『琅琊榜』の地上波放送は終わりましたが、今度は『琅琊榜<弐>』が始まっています。『琅琊榜』を通して見ている人「だけ」が味わえる楽しみが、随所にあります。続編だから当たり前といえば当たり前ですが、この話の場合はちょっと一味違うかなーと個人的には思います。