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ドラマ『琅琊榜』で学びたかった中国語~第四十集①

サブタイトルは「烏金丸」。
第三十八集で夏江が梅長蘇に飲ませた毒薬である。


まずは、前回蔡荃と沈追(靖王と志が近い官僚たち・既出)が第十七集で闇炮坊(非合法爆竹工場)の爆発について調査や審理が認められず、憤る蔡荃を沈追が屋敷に招いてお酒を飲んでいるシーンから。

满上

蔡荃のために60年物の貴重なお酒を出した沈追。そのお酒を注いでもらった蔡荃は、きちんと味わう様子もなく一気に飲んでしまう。二杯目も同様に飲み干すと酒を注ぐ手を止めた沈追に言った。

满上
ーついでくれ

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第40話
蔡荃

▼满上(mǎnshang)
「满」は「満たす」、「上」は方向補語で目標に到達するニュアンスを添えている。ここでの目標は盃にお酒がいっぱいに注がれている状態と思われる。「满」だけでなく、この「上」があることで差し迫った感じにもなるそうだ。そのためこの一言で「早く盃にお酒がいっぱいに注がれている状態にしてくれ」になる。

蔡荃は爆発で死んだ何の罪もない69人の命について考えの及んでいない皇帝と誉王に失望していた。そんな蔡荃に沈追は「そんな状態だからこそ諦めずに職責を全うすべきだ」(要約)言っていた。こんな人々がこの国にもきっといると信じたい。

你就不要再挂在心上了

懸鏡司(諜報機関)から救い出された梅長蘇が、吐血しながら心配していた人たちの内の一人・掌鏡使(諜報員)の夏冬は牢屋に入れられていた。彼女の師匠で懸鏡司のトップ・夏江の指示で、皇帝を欺き靖王を陥れようとした疑いがかけられている。

蒙大統領が牢へやって来て夏冬を気遣う。そんな蒙大統領に夏冬は実兄(夏秋)や兄弟子(夏春)、さらに師匠である夏江の状況を尋ねる。今回夏江が投獄されるに至る状況に夏冬は協力している。蒙大統領は、夏冬の複雑な心中を慮って、夏江は自業自得であると言い、こう続けた。

你就不要再挂在心上了
ー気に病むことはない

琅琊榜~麒麟の才子、風雲起こす~第40話
蒙大統領

▼你就不要再挂在心上了
(nǐ jiù bù yào zài guà zài xīnshang le)
「你」は二人称、「就」はこの直前に蒙大統領が言っていた「夏江は自業自得」という内容を踏まえて結論を示す副詞で、結論はその後に続く。
「不要」は「~するな」という意味で、「再」は「引き続き」「これ以上」などにあたる副詞、「挂」はここでは「心にかける」「心配する」「気にする」などになる動詞である。
「在」は直前の動詞「挂」の範囲を導く役割で、後に続く言葉が事物名詞「心」なので方位詞「上」を付けて「心上」と場所を表す言葉にして範囲を示している。「了」は文末助詞で「不要」と呼応して禁止の意味になるので、全体で「だから君はこれ以上気にするな」ということになる。

これに対する夏冬の返答は次回に。

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稲生瀬鴉(いのうせあ)
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