ドラマ『琅琊榜』で学びたかった中国語~第三十六集③
サブタイトルの「もう一つの戦場」が意味するところ、衛崢奪還作戦における靖王の戦場の場面である。
你不是在开玩笑吧
皇帝の御前で靖王は、衛崢を強奪された夏江と誉王の間に跪かされ、靖王を追い詰めたい夏江から詰問されていた。何も知らない態でいなくてはならないため、懸鏡司から衛崢が強奪された前提で話が進む。
皇帝も懸鏡司の牢を破るには数百人必要という認識だったが、夏江はたった三十人程度による襲撃であったと言う。本来ならありえない数字が出て来たので靖王が夏江に言った。
▼你不是在开玩笑吧(nǐ bù shì zài kāi wánxiào ba)
「你」は靖王から夏江に対するに二人称、「不是」は「~ではない」、「在」はおそらく「~している」という動作の進行を表す。「开玩笑」が「からかう」「冗談を言う」で、「吧」はここでは疑問の文末助詞である。
進行を表す「在」は「~していない」と否定するなら本来「没」を使うが、ここで靖王は夏江が「冗談を言っているつもりではない」のは分かっている上で反語的に確認していると思われる。そのため全体で「お前は冗談を言っているというのではないだろうな?」となる。
警固の緩い大理寺に衛崢を置いていた理由を言いあぐねかけた時に、皇后から連絡が入る。静妃が皇帝の依頼で密かに祀っていた宸妃の位牌が見つかったからだった。
🖌今回の気になる単語帳
鬼鬼祟祟 guǐguǐsuìsuì
「陰でこそこそする」という意味。夏冬が衛崢を護送する様子を見ていた紀王が「都でも人目をはばかるとは」と言っている時に出て来た表現。「鬼祟」は「こそこそしている」「正々堂々としていない」という意味で、それを明確に強調する重ね型と思われる。この夏冬の様子を紀王に見せておくことが梅長蘇の狙いなのだが、この結果はまた少し先になる。
狼心狗肺 láng xīn gǒu fèi
残忍非道な心、鬼畜のようなむごい心という成語だが、「恩知らず」の意味に用いることが多い。静妃の大逆罪(本当は皇帝の依頼で宸妃の位牌を作って祀っている)について皇后に呼ばれて後宮へ向かう前、怒った皇帝がこの言葉を3度も繰り返して跪く靖王を足蹴にしていた。字幕は「朕の恩情を何だと心得る」だった。最近目をかけ始めた靖王が自分の意に沿わなかったので、この皇帝からすると「恩知らず」な事態だからである。でも狼心狗肺はむしろ皇帝のほうでは・・・・?
今回で『琅琊榜』全54話の3分の1が終わりました。
一区切りです。
拙文を読んでくださる方がいるので、続けてこれました。ここまで約2年かかりましたが、残り3分の1も頑張ってやり切りたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。
放送中の『琅琊榜』は現在46話。
10話先を行ってます。