ドラマ『琅琊榜』で習いたかった中国語~第三十一集②
サブタイトル「布石」の続き。夏江と誉王がそれぞれ動き出した。
不必听他胡说八道
夏江の二番弟子で掌鏡使の夏秋が、薬王谷の素玄(衛崢・赤焔軍で林殊の副将)たちを襲った。夏秋は衛崢に配下たちの命を助ける代わりにおとなしく連行されるよう言う。これに対し配下の一人・席が言った。
▼不必听他胡说八道(bùbì tīng tā hú shuō bā dào)
「不必」は「~の必要はない」、「听」はここでは「(言うことを)聞く」「(言うことに)従う」、「他」は「彼」で夏秋のことを指している。「胡说八道」は成語で「口から出まかせを言う」「でたらめを言う」という意味である。
全体で「彼(夏秋)のでたらめ聞く必要はない」となる。衛崢はやむなく夏秋に連行されることになり、席はその後蘇宅へ報告に行った。
衛崢が捕まり、さらに誉王が布石が打ちに行く。養母の皇后にあえて罪のない静妃を監禁するように頼んだ。ここの会話から改めて思ったが、この皇后は言闕さまの妹の割に頭良くなくてちょっと残念・・梅長蘇の正体に勘づく静妃とはだいぶ違う・・もしかすると越貴妃よりも頭の回転悪いかも。
この話の流れで誉王が自身の生母である祥嬪について尋ねるが、皇后も会ったことがなく知らないと言う。後宮ではなく郊外の行宮にいて、祥嬪の死後に誉王が後宮に連れてこられたらしい。皇帝も祥嬪についてはまったく教えてくれない。この情報は頭の片隅に置いておきましょう。
さらに監禁した静妃の侍女・小新をあえて逃がし、靖王府に事態を知らせに行かせた。そして靖王府の戚猛(過去に飛流に敵わなくて梅長蘇に無礼を働いた)と小新で皇帝に報告に行く道中で、偽の江左盟の人物によってあえて連絡を阻止させた。
さらに江左盟の連絡役・童路が襲われて連行される
住手
秦般弱に捕まり拷問を受ける童路。拷問にも屈せず死も恐れない童路に秦般弱は、雋娘の首筋に刃を当てて、童路に自分の主が誰なのか言うように迫る。さすがの童路も叫んだ。
▼住手(zhù shǒu)
「手を放す」「手を止める」という意味。もちろん雋娘の首に刃をあてている秦般弱の手に対してだ。童路はこれを2回言うが、字幕では「やめろ」「やめるんだ」と少し言い方を変えて日本語として自然な表現にしている。
こうして誉王側に攻勢をかけられている江左盟だが、梅長蘇が自ら対応したら違った結果になったかもしれない。この時の不運の一つは何と言っても前回持病が悪化した梅長蘇が、その後目覚めるも妟医師や周囲の勧めで再度休養のため眠らせられていたことだ。そのため梅長蘇はこの一連のできごとをまだ知らない。
もう一つの不運は蒙大統領も皇帝に付き添って都を出ていて不在、靖王はそもそも救済任務で不在だった。
あとそれぞれのキャラクターにとって優先事項が違うために、ちょっとした言葉選びの間違いで、靖王府と江左盟にちょっとした溝ができたのも後で悪く効いてくるのだ。
🖌今回の気になる単語帳
万事俱备 只欠东风
wàn shì jù bèi, zhǐ qiàn dōng fēng
意味は「用意はすべて整ったけれども,最も重要なものが一つだけ欠けている。」
この回最後に誉王が言ったセリフである。
めちゃくちゃ聞いたことあるやつ!とテンションがぶち上がる。
三国志だ!赤壁だ!
落ち着け。
「东风」は決定的な要因の比喩で、三国志演義第四十九回にそっくりそのまま諸葛孔明のセリフとして出てくる。曹操軍に対し兵力に劣る周瑜率いる孫権軍が勝つための作戦・火攻めに欠けているものが「東南の風」であった。三国志演義の物語では、この風を諸葛孔明が儀式で呼び、火攻めに成功する。
三国志ファンとしては、誉王が自分のやろうとすることをコレと重ね合わせているかと思うとちょっとイヤだな・・・字幕では分かりやすく「すべて準備は整っております。あとは奴を待つだけ。」となっていた。
三国志と中国語がちょっぴり分かると楽しい瞬間だった。