「紹興酒の本なんて、必要ないでしょ」と言われて思ったこと。
僕は今、黄酒の入門書的な本を執筆中です。今年の9月に出版される予定です。
執筆は昨年末ぐらいから始まり、3〜4月にはピークを迎えました。4月が一番大変だったかな。酒蔵見習い、WEBライター、お店、本の執筆などなどグルグルフル回転で動いていて、かなりバタつきました。
もうすぐ本の執筆が落ち着くので今までの過程もこれからまとめていくつもりすが、その前にちょっとした出来事があったので綴ります。
語学勉強なんて大それたものでもないのですが、僕は中国語を練習するために中国語学専門のSNSアカウントを持っていて、時折日記を書いています。
そこで、とある日に黄酒の本を今書いていることをアップしたんですね。
中国の方々から「いいですね!」「私も黄酒好きです!」と嬉しいコメントをいただく中で、ひとつ、こんな内容のコメントが混じっていました。
内容をかいつまんでいうと、こんなことです。
いやいやいやいや何をおっしゃいますやら!と思いながらここから会話をいくつか挟んだのですが最終的に僕が伝えたのはこんなことです。
(ちょっと熱くなって実際に相手に語るような感覚でコメントしてたので、文体を口語にしてみました)
このコメントをしてくれたのは日本に住んでいる中国の方のようです。
内容に関しては納得できる部分がありつつも、全く賛同はできませんでした。
紹興酒、引いては黄酒は中国で多くの人に親しまれているかというと、実はそんなことはなくて、かなり限定的です。
紹興酒は浙江省紹興市の酒で、紹興や杭州、上海あたりではレストランのメニューに並んでいますが、他のエリアに行くとほとんど置いて無かったりします。
実際に市場規模としても、中国で最も大きな酒業界は白酒であり、あとはビール、ワインなどです。最近では日本酒も人気が出てきていて、このままだと黄酒は追い抜かれてしまうかもしれません。
その中で、日本では「紹興酒」という黄酒の認知度はすごく高いといえるでしょう。名前は、みなさん知っていますよね?そう、この中国の方が「日本でよく知られている」とおっしゃっているのは、その通りなのです。
でも、僕からすると「だからなんなのだ」と思ってしまいます。なぜなら、知っているだけではダメだからです。
紹興酒の名前を知ってはいても、何からできているのか?どのように造られているのか?など、どんなお酒なのかを知っている人は多くありません。
また、家で紹興酒を楽しむ人は、どれぐらいいるのでしょうか?意外といるのかもしれませんが、日本酒やワイン、ビールなどとは比べ物にならないぐらい少ないと思います。
中華レストランでも紹興酒は「紹興酒8年」「甕出し紹興酒」の記載のみ。他の酒でいえば、日本酒を「清酒」「酒」、ワインを「白ワイン」「赤ワイン」とだけ記載しているのと一緒です。
知っている人が多い=文化が花開いている、というわけではないんですよね。
日本全体で見たら、酒を飲む人は減っているのかもしれないけど、紹興酒など黄酒はまだ謎が多い状態だから、どんなお酒かがわかっていくだけでも、今よりは興味を持ってくれる人は増えるんだろうなと思っています。
だから、手前味噌ですが、この本は非常に意味のあるものだと思っています。黄酒の入門書って日本にないのです。情報のベースとなるものが必要だし、そこを補う本にしなきゃいけない、頑張らねば!と思っています。
(ただ、もし情報が整理されて興味を持つ人が増えても、それだけでは一時的なブームで終わってしまうでしょう。個人的にはさらにその先のことにも思いを馳せております。遠い目)
こんなことを考えているものだから、このコメントをいただいてからは
まだまだ可能性は眠っているじゃないか!
なのになんで本はいらないなんて言うんだ!
チクショウ!
と悔しくなってしまって、大人気なく意地になってしまいました。。はい、僕は幼く器も小さき人間なのです。。
今回、本を執筆するにあたって改めて黄酒のことをいろいろと調べました。黄酒も今、後継者が見つからずに閉鎖していく酒蔵は少なくありません。酒造りって、大変ですからね・・・若い人はその世界になかなか踏み出さないのでしょう。
まだまだ黄酒の魅力を知る人が少ない状態で、廃れてしまうのは非常にもったいないことだと思うんですよね。まずは知ってみて!飲んでみて!楽しみ方もいろいろありますよ!と。そこまでまだ行ってない内に、判断するのはまだ早いぞ、と。
この酒の魅力をどんどん開いていくこと。それはこの文化を紡いでいくことに繋がると思います。最近はダイナミックに動いている方もいるので、僕の力なんてちっぽけなものですが「自分のやれることをもっとやっていこう!チクショウッ!」と、この一件でさらに思いを強くしたのでありました。
引き続き、頑張ります!という決意表明でした(笑)
最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます干杯!やるぞーーー
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