デヴィッドボウイ「 ムーンエイジ・デイドリーム」
デヴィッドボウイのドキュメンタリー映画「 ムーンエイジ・デイドリーム」70年代のミュージックシーンを席巻したボウイのメロウな歌声とパンキッシュなスタイル、圧巻のクリエイティビティーを映像体験。
孔雀のように妖艶でハヤブサのような精悍な表情が一変、コケティッシュにはにかむ笑顔はまるで10代少女の可憐さ、ふり幅が凄すぎる。
性別も人種も年齢も超えて宇宙的視座にたってボーダレスに自分自身をクリエイトし続ける。70年代に彼の存在がよく受け入れられたなあと感心するほど、そのエキセントリックさは今でも新鮮で驚きに満ちる。
彼の思索的美意識はニーチェなどの西洋哲学のみならず、チベット仏教や禅など東洋哲理にも向かい、その思想融合は歌詞や演出にも見られるようになる。(ヒューマニストとして人生の本質をとことん追求した結果、80年代にはこれまでのエッジのたったスタイルから一変、レッツダンス、チャイナガールなど、皆と一体になれるポップの方向にシフトした。)
彼の制作活動全てが実験的で挑戦的。デビュー当時から時代の最先端を切り開く彼は自己ベストを更新すべく自らをキャンバスにしたてて次々にアイデンティティを変容していく様はおそろしくストイックで情熱的。今ここ、を全力でクリエイトする姿は瑞々しく、ため息がでるほど美しい。
星の王子様のように地球に降り立ち70~80年代のスターダムに居続けた宇宙人的クリエイター。やはりすごかった。