カゲロウを追った夏休み
カゲロウ。
陽炎(かげろう)であれば、ゆらゆらと空気が歪んだ様子を指しますが、虫の方のカゲロウはこの陽炎に由来するとも言われているそうです。この昆虫の飛ぶ様子から、または、成虫の命のはかなさからともいろんな憶測があるそうです。
私、カゲロウのことを全く知らなかったのですが、昆虫学者のクレイグはカゲロウの専門家。限りなくゼロに近い知識の人間と、限りなく誰よりも詳しいだろう人間が一緒に調査に臨みました。
地球の歴史上の3億年前、カゲロウは最初にハネを持ち、飛べるようになった水性昆虫の一つだそうです。
幼虫は全て水生で水の中にすみ、脱皮をしながら成虫になり、羽を獲得しますが、なんと、摂食機能はない、つまり成虫は一切合切何も食べないまま、伴侶を探して交尾(産卵)すると命途絶えるのだそうです。成虫の寿命は30分〜数日という儚さです。
葉の裏側にひっそりと停まっているカゲロウ。たまたま山中で見つけたのは調査最終日だったのですが、
「おぬし、やるな . . . 」
と褒められました。
この透明感がなんとも神秘的で息をひそめて写真に撮りましたが、川面にいるのが普通ですから、なんで山中に紛れ込んできたのかは分かりませんが、妖精のようですよね。
水の中にいる幼虫たちも種類が様々、そして
幼虫 (nymph*) (脱皮を繰り返す)→亜成虫→成虫
と変態(亜変態)を繰り返すので詳しいことはクレイグのレポートを待つことにしますが、*nymph=ニンフと呼ばれる幼虫時代。ニンフって若く美しいギリシャ神話の妖精のことを指す言葉ですからこれもまたカゲロウの妖精らしさを裏付けるような気持ちになります。
この写真は、幼虫観察用の白スプーンの先にやってきて停まった成虫になったばかりと思われる亜成虫
「亜成虫は脚や尾がやや太短く、翅が不透明であるなどの違いが見られ、性的には未成熟である」
らしいです
成虫になったカゲロウには食べる機能がないと前述しましたが、つまりカゲロウにとっては、餌を食べて自らが生きることよりも、子孫を残すことのほうが大切という、究極の選択の結果であるのですね。儚さと潔さ。
3億年という途方もない時間に思いを馳せる、なんとも贅沢な夏休みになりました。クレイグのレポートが出来次第、またご報告いたします。