Bokeh#3(3.ボケについて)
1.はじめに
2.カメラのパラメータについて
3.ボケについて
本誌のタイトルにもなっているので、次はボケ(Bokeh)の話
もともと、一眼で写真を撮りたかったのは、コンデジで撮った写真に比べ、背景が綺麗にボケて主役が浮き上がってきている写真に憧れたからで、その仕組みについて調べてみた。
ちなみに、意図した被写体にピントが合っていないのは、ピンボケ(out of focus)で別物
(1)被写界深度の計算
写真におけるボケの評価は、ボケているところとボケていないところの対比だと思っていて、ボケていないところ、つまり被写界深度(下図のイメージ)が重要なのだが、以下の式で計算できる。
前方被写界深度 = ④ x ① x ③^2/ (②^2+ ④× ① ×③)
後方被写界深度 = ④ x ① x ③^2/ (②^2– ④× ① ×③)
被写界深度 = 前方被写界深度 + 後方被写界深度
※②^2は、②の二乗
①絞り値
②レンズの焦点距離(詳細は別紙1)
③被写体との距離(詳細は別紙1)
④錯乱円(詳細は別紙2)
ただし、これは撮像素子の上での被写界深度(つまりボケている)で、実際には、印刷したり画面で見た場合、肉眼で識別できないボケは、ボケとして認識できない。被写界深度の定義のA4に印刷して判断するという意味で、上記の表では、フルサイズの2,000万画素以上の場合でも1,000万画素と識別できない。
別紙1:②レンズの焦点距離と③被写体との距離
今回被写界深度を計算するうえで、ポートレート写真を撮る場合を考慮し、同一の条件を計算してみた。
別紙2 ④許容錯乱円
被写界深度を計算する定数(1300)は、フィルムカメラで撮影したものを、A4で印刷し、それを視力1.0の人が1メートル離れたところから見たときにボケているかピントが合っているかを判断するときに使用する定数である。
しかし、この考えは画面を等倍で見るデジタル時代には、不十分と考えた。そこで、許容錯乱円の直径に撮像素子のピッチ幅を採用することを考えた。つまり、許容できるボケの大きさは、撮像素子の大きさとする考えだ。ただし、一般的なカメラにはローパスフィルターが搭載されているため、光学的に1点に焦点した光を少なくとも4つの素子に分散することから、許容錯乱円の直径も2倍とする(ただし、iPhone15ProMAXはクアッドピクセルセンサーのため16素子に分散する必要があり4倍とした)