長野県企業局って中小企業を財政支援する団体じゃないんですか⁉【水望メグ/電気・ダム/コミケ C104】
0.長野県企業局さんのガチさがすごい。
今、密かに応援しているキャラクターがいます。
長野県企業局のマスコットキャラクターである『水望メグ』さんです。
一見すると普通のマスコットキャラクターのように見えますが、
『水望メグ』さんに対する長野県企業局さんの愛情の入れ方が半端ないです。
まずは『水望メグ』の声優さんとして長野県出身の伊藤かな恵さんを抜擢。
伊藤かな恵さんと言えば、
とある科学の超電磁砲の『佐天涙子』
しゅごキャラ!の『日奈森あむ』
花咲くいろはの『松前緒花』
など数多くのキャラクターに命を吹きかけたベテランの方です。
水望メグのアクティブさと伊藤かな恵さんの明るい声が上手くマッチしているなと個人的には感じています。
キャラクターに声が付いているということでYoutube、Tiktokへ積極的に展開。3ヶ月に一度程度の投稿頻度であるためまだまだ動画数は少ないですが、クオリティはかなり高いです。
下のような動画が見ていると、やっぱりプロの声優さんってすげぇなぁって感じます。
さらに2024/08/11~12に東京ビックサイトで開催されましたコミックマーケットにて『長野県企業局』がなんと出展。
しかも『水望メグ』のコスプレイヤーさんもいます。
これまでも都営バスなどの鉄道/バス会社や地方自治体が参加することは珍しくありませんでしたが…
電気・水インフラ系企業がコミックマーケットに参加するのは史上初のことだと思います。
(しかもオリジナルキャラクターのコスプレイヤーのお披露目付き!)
サブカルの世界に臆さず飛び込み、『本気で』認知度を上げようとしている長野県企業局さんの活動はこれからも応援していきたいと思います。
1.結局『企業局』って何なんだよ問題。
『長野県企業局のさらなる認知度向上と、特に若者世代への効果的な情報発信を目的』として誕生した『水望メグ』さん。
身も蓋もないことを言ってしまうとそもそも『認知度が低い』原因として
長野県企業局という「名称」にありそうな気がします。
皆さんは長野県企業局と聞いてどんなことをやっている団体だと想像するでしょうか。
私は正直、中小企業を財政あるいは法令関係で支援する団体だと思っていました。
しかし実態は全く違いました。
雑に言ってしまえば
水力発電だけやっている電力会社+水道会社
のようなものです。
長野県企業局の事業について初めて知ったとき
いやいや『企業局』って
電気要素どこ行った?水要素どこにもないやん!
と思わず突っ込んでしまいました。
(もっとほら「電気公社」 とか「電気水道局」とかさぁわかりやすくしようと出来るやん)
とは言っても『企業局』という名称が付けられているのは何か理由があるはず。
その理由を探して我々は北アルプスの山々へ足を踏み入るのであった…
1-1.インフラと地方公営企業
『企業局』という名称を読み解くにはまず『地方公営企業』という形態について知る必要があります。
なんだか難しそうですが、実は結構私たちの身の回りに溢れた企業形態です。交通に関する事業体で言えば例えば以下の企業が『地方公営企業』に当たります。
『地方公営企業』の役割について岡山県が分かりやすく解説してくださっていたのでそのまま引用してみます。
まとめると、
・対象となるインフラ専用のお財布(特別会計)を作るよ。
→利用者からお金を徴収して上手く採算が取れるように運営してね。
・もし、定めた事業から外れたことで必要なことがあれば、自治体の方からお金を出してあげるね。
となります。
ちなみによく似た企業制度として『独立行政法人』があります。
独立行政法人は独自の法人格を持つことが出来るなどもう少し企業の権限が大きくなるようです。
1-2.県と電気/工業用水道インフラ
『○○県企業局』という名称が付けられている企業は日本各地に存在しています。
概ねどの企業にも一致しているのは水力発電による電気事業、工業用水道事業をベースとしていることです。
日本の電気事業・工業用水道事業の歴史を振り返ると、大正時代に遡ります。
この時から、ダムを活用して治水(洪水調整)と利水(工業用水・農業用水、水力発電)をやっていこうという動きが生まれてきました。
その後、1930年代後半から『河水統制事業』として国・都道府県・電力会社によって多くの河川構造物(ダム・取水堰など)が作られることとなりました。
例えば、山口県の錦川にある向道ダムは河水統制事業によって1940年に完成し、工業用水を徳山地域に供給開始しました。これが、山口県による工業用水事業のはじまりとなっています。
戦後になると1950年に制定された『国土総合開発法』(日本の国土政策の基本方向を示す指針)をきっかけに河水統制事業は『河川総合開発計画事業』となり、本格的に河川構造物の建設が進みます。
1-3.『○○県企業局』の誕生
1960年代になると工業用水道と電気を事業の中心とした
『○○県企業局』が次々に誕生することとなりました。
背景にあるのは先ほど話題に上がった『地方公営企業』の適用範囲の拡大です。
1966年に地方公営企業法が改正され、
地方自治体が持っている
『水道、工業用水道、軌道、自動車運送、鉄道、電気、ガス』
の事業に関しては、地方公営企業の形で運営してください
というルールになりました。
例えば、『北海道企業局』は
1964年に電気事業及び工業用水事業を抱えた地方公営企業
として誕生しています。
電気事業と工業用水事業をまとめた際、なぜ『○○県企業局』という名称が付けられたのか各県からの資料からは見つかりませんでした。
ここからは私なりの予想になりますが、
これを基に県が保有している事業を一つの企業にまとめた結果、
誕生したのが現在の『○○県企業局』なのではないかなと。
『水道、工業用水道、軌道、自動車運送、鉄道、電気、ガス』のうち、
1966年当時に県が保有していた事業が
『工業用水道と電気』の2つであるケースが比較的多かったのかなと考えられます。
(水道、軌道、自動車運送、鉄道は市町村がが運営主体となるケースが多いです。ガスは自治体で運営するケースがそもそも少ない気がします。)
結果的に、『○○県企業局』と言えば、水力発電と工業用水道というイメージに結びついたのかもしれません。○○県企業局の企業とは、『地方公営企業』のことだとすればある程度納得がいきます。
(『電気公社』とかでいいじゃんとか言ってすみませんでした。)
ちなみに上記の7つの事業というのはあくまで必ず地方公営企業として運営してくださいね~と定められているものなので実際には他の事業も地方公営企業にすることが出来ます。
例えば、徳島県企業局の場合は電気と工業用水道のほかに、土地造成と駐車場事業についても担っています。
このようにどんな事業を『○○県企業局』に任せるかというのは自由にカスタマイズできるようです。
2.まとめ
『○○県企業局』というのは
『県の事業のうち地方公営企業の形態として運営したい事業を集めたもの』
であると予想しました。
いやー、それにしても採算性も求められる県の地方公営企業がコミケに出展するとは… 改めて驚きを隠せません。