見出し画像

#18 水沢のHEROを探す旅。

こんにちは、はたはた@土木写真です。今回は岩手県奥州市の水沢という街に行ってきました。ディープな魅力に溢れる街で、ワクワクしながら街を歩いていました。今回は、水沢で『HERO』を探していきたいと思います。

0.水沢に行きたいと思ったきっかけ

2021年1月に『VERA星チャレンジ』というオンラインイベントが開催されました。これは国立天文台水沢VLBI観測所によって開催されたイベントで国立天文台水沢の紹介と電波天文観測の体験が出来るというものでした。残念ながら電波天文観測は高校生限定で実施されたため私は体験出来なかったのですが、オンライン上で天体望遠鏡を見ることが出来ました。

これはぜひとも生で見たいと思ったところ、2022年秋に鉄道開業150周年を記念してJR東日本から東北・甲信越を周遊できる『JR東日本パス』が発売。これは東北に行く絶好のタイミングだということで見に行ってみました。

1.水沢駅へ

水沢がある奥州市は人口10万人ほどの街。岩手県内では盛岡市に次ぐ人口です。世界遺産でおなじみ平泉からもう少し北に行くとあります。

かつては東北本線の主要駅として数多くの特急列車が停車していましたが、現在は東北新幹線『水沢江刺駅』が市内に出来たため、1時間1本程度普通列車がやってくるのんびりした駅になりました。それでも列車がやってくる時間になれば、10人~20人ほどのお客さんが駅のホームに並んでいる様子を目にすることが出来ます。

水沢駅のロータリー。なんとなく懐かしいと感じる駅舎。
水沢駅に入ってきた普通列車。

東京駅から水沢に向かうときには東北新幹線で一ノ関駅まで向かい、東北本線で向かうのが便利です。車での移動が前提ならば、水沢江刺駅からレンタカーを使うのも一手です。

2.最初の『HERO』は?

早速、国立天文台水沢に行きたいところですがその前に会っておきたい最初の『HERO』がいます。

駅前に早速、いらっしゃいました。
その方は『後藤新平』です。

駅員の方が作られたオリジナルポスター。
似顔絵が丁寧に描かれている。

※『後藤新平』ってどんな人?

後藤新平に対し、「関東大震災の復興に尽力した人」のイメージがありました。ただそれは晩年に近いときに行った功績で若い時から様々な功績を残してきたようです。

元々は医師で、24歳のときに愛知県医学校(現・名古屋大学医学部)の学校長兼病院長になったようです。
(いやいや、早すぎるだろ!その頃にやっと医師免許を取得できるんじゃないんですか…)

1895年には日清戦争から戻ってくる兵士の検疫事業に従事します。その後、台湾総督府、南満州鉄道で活動します。関東大震災の復興に関しては、このあたりの経験が生かされているのかもしれません。

1923年の関東大震災以降は内務大臣として東京の復興に勤まれました。

晩年にはボーイスカウトの活動に尽力されていました。

※後藤新平記念館に行ってみる。

駅から10~15分歩いたところに『後藤新平記念館』があるので、行ってみます。小さな記念館ですが、彼の様々な功績を見ることが出来ます。1階は生まれてから南満州鉄道で活躍するまでの半生、2階には東京市における関東大震災からの復興、その他晩年における活動について展示されています。

後藤新平記念館。シンプルな外観になっている。

中に入ると記念館のスタッフの方がビデオを使って30分程度説明してくださいました。

1時間ほど見学していたと思うのですが、もう少しじっくり見たかったなぁと感じてしまうくらい濃密な空間でした。

私『本当に面白かったです。色々な人・環境との巡り合いで様々な功績を残されているんだなと感じました。』
記念館のスタッフ『確かに環境もありますが、相当努力をされていたんだと思います。』

帰り際にそんな言葉を交わしたような気がします。記念館のスタッフの方には丁寧に教えていただきました。ありがとうございました。

3. 国立天文台水沢へ歩いて向かう。

ついに国立天文台水沢に向かっていきたいと思います。
後藤新平記念館から15分程度歩いてたどり着きました。

国立天文台 水沢では複数のパラボラアンテナの他、資料館・記念館などがあります。天文を始め、地学について深く学ぶことが出来ます。

※水沢の天体観測所の歴史

水沢に天体観測所が置かれたのは1899年。
地球の極軸はいつでも地球の中心を貫くのではなく、微妙にずれていることが分かっていました。
これを『極運動』と呼び、この運動を詳しく見るために北緯39度8分上に6箇所の観測点を設置されました。その一つとして水沢に天体観測所が設置されました。

天体観測所の所長になった『木村榮』は極運動の観測に取り組みました。この際、観測点の位置関係によらない何か(Z項)があることを発見したようです。
Z項が存在する理由については長らく解決していませんでしたが、
1970年にZ項が現れるのは地球が剛体ではなく、鉄などのとけた流体(流体核)が含まれていたのが原因だったことがわかります。

ちなみに宮沢賢治もこの施設を訪れており、『銀河鉄道の夜』『風の又三郎』などの作品は天体観測所での体験が反映されているとかいないとか。

『木村榮』と記念館。
記念館の中には天体観測に関する様々な展示があります。
個人的には大森式地震計が見れて大満足。

※国立天文台 水沢のこれから

現在は、VERAプロジェクトをはじめ、様々なプロジェクトが進められています。

VERAプロジェクトとは、高精度の計測によって銀河系の3次元立体地図を作るプロジェクトです。
具体的には水沢、入来(鹿児島県)、小笠原、石垣島の4つの観測局が連携して観測しています。4つの観測所で観測されるデータを組み合わせることで直径2,300kmの望遠鏡と同じ性能を発揮することができるそうです。

VERAプロジェクトで用いられる4つのパラボラアンテナ
その一つに水沢がある。
https://www.miz.nao.ac.jp/veraserver/system/index.htmlより)

VERAプロジェクトで使われる4箇所のパラボラアンテナのうち、
小笠原、石垣島は離島、入来(鹿児島県)は山の中にあるためどれも到達難易度はかなり高いです。

一方、水沢の観測所は街なかにあり、駅から徒歩20分ほど。巨大なパラボラアンテナが本当にこんなところにあっていいの?と思ってしまうくらい到達難易度が低い場所です。

パラボラアンテナと曇り空。
周辺に一般住宅があるとても不思議な場所。

4.あるHEROは現在活躍中!

そういえば水沢の街なかでよく目にする人物がいました。
メジャーリーガー『大谷翔平』選手です。
大谷翔平選手は花巻東高校出身ですが、奥州市生まれだそうです。
今後の活躍も期待しています。

奥州市役所には大谷翔平選手を祝う横断幕が掲げられていました。

というわけで水沢の街で3人のHEROに出会ったお話でした。

いいなと思ったら応援しよう!