30歳で赤毛のアンをもう一度。アンが気づかせてくれた、内面の世界観とHSPのこと。
赤毛のアンのアニメが、今ちょうど私の居住地のケーブルテレビで毎朝放映されています。(コロナのニュースばかり朝から見ると気が滅入ることもあり)旦那の出勤を見送った後で、30歳の私が朝から1人で赤毛のアンを30分見るのがここ最近の朝の楽しみです。
赤毛のアンといえば、カナダのプリンスエドワード島を舞台に、アン・シャーリーという孤児の少女が、マシュウとマリラのカスバート兄妹に引き取られるところから始まる物語。1908年に発表された作品ですが、110年以上経た今もなお色褪せない名作だと思います。
私も小学生のとき(今は見かけなくなったVHSの)ビデオで、赤毛のアンのアニメを見て、中学生のときは小説で「赤毛のアン」はもちろん、その続編たち(アン・ブックスとかアン・シリーズなどと言われる10冊ほどの小説作品)を読破するために、図書委員をやっていたようなものでした。その当時、理由はわからないけれども、とにかくアン・ブックスは私にとって非常に魅力的で、14歳くらいだった私が唯一没頭して読めた小説と言っても過言ではないかもしれません。
アンを読むための図書委員を卒業して15年以上経ち、大人になって今アニメのアンを見ると、14歳の私がなぜあれほどまで赤毛のアンに魅了されたのか、ちょっっとわかったような気がしています。今私がアンに気づかされたことは、私も内面の空想とともに生きていたし、今も生きているということ。
11歳〜14歳くらいのアンをめぐる描写は、とにかく「空想の世界」がたくさん出てきます。アニメはその「空想するアン」をうまいこと描いていますね。リアリストの気持ちになってみると、ロマンチックな気分になるのは百歩譲って理解できても、そこで無駄にピンク色の花びらがザザーっと舞い始めるのは、疑問を抱いても不思議ではありません。この花びらの舞の描写は、あくまでもアンの空想が生み出したものであって、本当に花びらが舞っている場所に彼女がいたわけではないんですよね。
私自身も、そういう少女だったように思います。ロマンチックな情景を見ればやっぱりピンク色の花びらがザザーっと舞っていましたし、怒りや悲しみを覚えると黒い雲から稲妻がドドーンと鳴り響くわけです。もちろん、頭の中の空想の世界であって、現実にそういう場面を見たり聞いたりしたわけではないんですけど、勝手に内面の空想が作り出されちゃうんですね。結局、内面的には豊かな世界観を少女時代に育んでいたんでしょう。
そのような内面の世界観を共有したく、アンも畳み掛けるようなおしゃべりでマリラに話すわけですが、リアリストのマリラはあんまり理解しないような素振りですよね。大人になるとみんなそうなるのかなとも思わなくもないですが、今でも私は、ちょっと可愛らしい花などを見ると「小さな妖精たちが踊っている」想像はしてしまいます。でも30歳になった今、その妖精たちのことを他の人に話して共有したいかどうかは、別問題。アンもアニメの中で、15歳くらいになると空想の描写が減り、そういうことを話したいとあまり思わなくなってきたのよね、想像力はあるけれど、と語っています。
このような「内面の豊かさ」というのは、心理学的な概念として知られつつある「HSP(Highly sensitive person)」の特徴の1つとされています。HSPは生得的な気質であって、病気ではありません。しかし、敏感すぎて・繊細すぎて・感受性が強すぎて、「生きづらい」と感じている人は、HSPの特徴が当てはまっている場合が多いようです。私も、16歳頃からそのような生きづらさを自覚し、20歳頃にHSPという言葉に出会って、自分はHSPだと確信するに至りました。多分、大人への過渡期で、他者や社会との関わりが増えていく中、いよいよ内面と外面の境界を意識せざるを得なくなってしまったのでしょう。何としても内面に持つ空想の世界から脱却し、外面で待ち受ける現実を受け入れていかなければならないのが、大人になるということなのかもしれません。HSPにせよ何にせよ、「生得的なもの」を捨てることほど、生きづらいことはないと思うのです。
だからもし、HSPの特徴で悩まれている方がこの記事を読まれていたならば、声を大にして言いたい。
「あなたの内面的な豊かさ・世界観・想像力、捨てないで!」と。
それは、あなたが生まれ持ってきた財産ですから。
30歳になった今、アンのアニメを毎朝見ることでそういう気づきを得られたと同時に、生得的な内面の豊かな世界観と外面の現実を自分の中でどのように両立させていくのかが、27歳くらいまで私の「人生の課題」になっていました。その課題を私はどう乗り越えようとしているのか、また次回に続くとしたいと思います。
今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
引き続きよろしくお願いいたします。
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