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魚は夜どうやって寝ているのか?

先日、4歳の娘から「魚はどうやって寝ているのか?」という質問を受けました。そのとき、うまく答えられませんでした。

そこで、自分の整理のためにこのテーマについて記事を書いてみます。

魚も他の動物のように休息を取る必要がありますが、その「寝る」方法は私たち人間とは大きく異なります。

魚は夜に寝るのか?

まず、魚がまとめて寝ているのかという点ですが、一説では、20分ごとの睡眠を何回もとっているそうです。

次に、夜に寝ているかという点ですが、これは魚の種類や環境によって異なります。海の中では、特に深い場所では太陽の光がほとんど届かないため、昼夜の区別が曖昧です。そのため、魚が夜に休むという概念が必ずしも当てはまるわけではなく、環境に応じて異なるタイミングで休息を取ることが多いのです。例えば、浅瀬にいる魚は日の出や日没に影響を受けて行動することがありますが、深海に住む魚は昼夜に関係なく、休息を取ることが知られています。

したがって、「魚は夜にずっと寝ているわけではなく、短いお昼寝のようなタイミングを何度も寝る」というのが回答になります。

秋刀魚(さんま)は、通常50メートルから200メートルの水深に生息しています。秋刀魚は比較的浅いところから深いところまで移動しますが、主に夜間に海面近くに浮上して餌を探すことが多いです。200メートルに近づくと光はほとんど届かず、暗さが増しますが、浅い部分ではまだ太陽光がわずかに残っていることもあります。

一方、マグロは、100メートルから500メートル程度の水深まで潜ることがあります。特に、クロマグロは広大な海を縦横無尽に移動し、非常に深いところまで潜ることができることで知られています。500メートルほどの深さになると、太陽の光はほとんど届かず、完全に暗い「ディスフォティックゾーン(薄明層)」に入ります。このゾーンは、わずかな光しか届かないため、魚の視覚や行動にも影響を与えます。マグロのような高速で泳ぎ続ける魚は、この暗い環境にも適応しており、視覚だけでなく水の動きや感覚器官を使って餌を探します。

暗い海の中で

寝ているときは止まっているのか?

次に疑問になるのは、魚が寝ているときは静止しているのか?という点です。

特に、秋刀魚(さんま)やマグロ、サメのような常に泳ぎ続ける魚(回遊魚)たちはどのように寝ているのかが気になります。というのも、回遊魚は酸素を取り込むために、窒息しないように泳ぎ続けなければならず、完全に動きを止めることができません。

なぜ回遊魚は泳ぎ続ける必要があるか

ここで、回遊魚が止まると窒息してしまう理由について整理しておきましょう。

まず、鰓の基本的な仕組みは回遊魚もそうでない魚も同じです。非常に細かい血管が網の目のように広がっており、水が鰓を通過するときに、この血管を通して酸素が血液に取り込まれます。具体的には、水中の酸素分子が、鰓にある非常に薄い膜(半透膜)を通り抜け、血液中に拡散します。このプロセスは、拡散と呼ばれる物理的現象に基づいています。酸素濃度が高い水中から、酸素濃度が低い血液側へと酸素が自然に移動するのです。これにより、エネルギーを消費することなく効率的に酸素を取り入れることが可能になります。一方で、血液中の二酸化炭素は、水に溶けているときの濃度差により逆方向に拡散し、水中に放出されます。この過程は、私たちの肺呼吸と同じ原理で、二酸化炭素が体外へ排出され、酸素が取り込まれる「ガス交換」が行われているのです。(ここで思い出したのが、二酸化炭素が水に溶ける現象です。この話題については以前、コーラに関する記事で書きました。二酸化炭素は圧力が低いほど水に溶けにくいのです。)

次に、鰓呼吸の方法に鰓蓋呼吸とラム通気という方法があります。

鰓蓋呼吸は、口を閉じたり開いたりしながら自ら水を吸い込み、鰓蓋を動かすことで水を鰓に送ります。この仕組みでは、水を自分の力で送り込むため、水流がなくても呼吸を続けることが可能です。動きが少なくても効率的に酸素を取り込むことができるため、ゆっくり泳ぐ魚や止まっていることが多い魚に適した呼吸方法です。

一方で、ラム通気は、特にマグロやサメのように、酸素を取り込むために常に水流が必要な魚(回遊魚)に向く方法です。回遊魚は非常に高い代謝率を持ち、酸素の需要が多いので、常に大量の酸素を効率よく取り込む必要があります。鰓蓋を動かして水を取り入れる方法では酸素の供給が追いつきません。常に泳ぎ続けて水流を作り出し、体に流れ込む水を最大限に活用して酸素を取り込んでいるのです。口を開けて水を自然に取り入れ、泳ぐことで水を鰓へと流し込んで、水が鰓を通過する際に、酸素が血液に取り込まれ、同時に二酸化炭素が排出する方法を取っています。

(この違いに、CPUの冷却方法を連想します。鰓蓋呼吸はファン空冷や水流冷却に似ています。ラム冷却はアップルシリコンのMacBookAirで採用されているパッシブ空冷のようです。)

つまり、水流がないと呼吸できない仕組みになっているので、回遊魚は泳ぎ続ける必要があるのです。

回遊魚は脳を半分ずつ休ませてゆっくり泳いで眠る

回遊魚は完全に止まることができないため、泳ぎながら眠ります。彼らは活動を少しだけ減らして、疲れを癒しながら休息を取るのです。回遊魚は目を閉じることができないので、目を開けたまま、ゆっくりと泳ぎながらエネルギーを回復していきます。

このとき、彼らは脳を「半球睡眠」と呼ばれる方法で休ませます。これは、脳の片方を休ませながら、もう片方を働かせる仕組みです。これにより、泳ぎを止めずに部分的に眠ることができます。この方法は、イルカやクジラのような海の哺乳類でも見られ、海中で生き延びるために非常に重要な進化です。

では、回遊魚以外の魚も同じように「半球睡眠」で泳ぎながら眠るのでしょうか?それは魚の種類によって異なります。回遊魚は常に泳ぎ続ける必要がありますが、他の魚は静止して眠ることも可能です。

したがって、魚が寝ているときは静止しているのか?という点については、「息を吸うために泳ぎ続ける必要があるタイプのお魚はゆっくり泳いで休むので、完全に止まらない。でも、そうでないタイプのお魚は完全に止まって寝ることもある。種類による。」という回答になります。

人生最大の睡魔が襲った場面の一つは、中学校の理科の授業中でした。どうしても眠気に勝てなませんでした。高校の化学も良い勝負でしたが。理科への関心は当時もありました。眠くなった原因は先生との相性だったと思います。
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人生最大の睡魔

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