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【困らせ行動の根っこ】同じ過ちを繰り返す原因は「無意識に潜む愛着の傷」だった!?
人間の根深い行動を変えることは、非常に困難だ。なぜなら当人は「無意識の影響を色濃く受けている」ということに気づいていないからである。
当人だけでなく周囲にいる人たちも、表層のみにしか目がいっていない場合が非常に多い。
無意識に根差した行動は、形状記憶のようなもので何度も際限なく再現される。
かつて仕事をしていて、頻繁に遅刻したり納期を守らなかったり、周囲を困らせる後輩について頭を悩ませたことがあった。
あの手この手を模索して、彼に行動を変えてもらおうと思ったが、結局、全て上手くいかなかった。
今ならわかる。
彼の問題は、無意識に根差している根深いものだったと。
幼少期に両親から愛情を注いでもらえなかった彼は、ずっと寂しかったという。
成人後、長年感じ続けていた寂しさが爆発し、人を困らせる行動に依存するようになった。
心理学的に「ゲーム」と称される行動を頻繁にとるようになったのだろう。
ネガティブな行動で他人の注目を引くようになった彼は「顰蹙を買ってもいいから、人と関わりたい」と切望するようになった。
周囲は、そんな彼を冷ややかな目で見ていた。
最近になってようやくわかったが、愛着に傷がある人へのアプローチは怒ったり叱ったりするのではない。辛抱強く接しながら感情をコントロールしつつ「何があっても、あなたの近くにい続ける」と行動で示すことなのだ。
愛着に傷がある人ほど、承認欲求や自己顕示欲が強くなる。
他者からの賞賛を求め過ぎる人は、自分軸ではなく他人軸に傾きがちだ。
パーソナリティ障害に罹患する人たちは、いずれも愛着不全、愛着障害と言われやすい。
「パーソナリティ障害だったのではないか?」と言われている芸能人の成育歴を紐解くと、いずれも複雑だ。
寂しさを表現やパフォーマンスに昇華できれば、芸能人やクリエイターとして成功することもある。
ただし多くの人間はそういった道を選ばず、暮らしの中で困った行動をとることで人の目を引こうとする。
成人後も「なんとかして人の関心を引きたい」と行動している人は、心理的に幼児退行を起こしているのだ。
もしあなたが、度々人を困らせる行動をとってしまい、それを改善できずに悩んでいるのなら「愛着の傷がないか?」を疑った方がいいかもしれない。
愛着の傷はすぐに回復するような、生易しいものではない。人によっては一生、背負っていくものだ。
あなたのとっている行動の根底に「人から構ってもらえなかった寂しさ」があるとわかるだけで、改善に向かいやすい。
行動を改善するには、心の中にある「愛情の容器」を満たすことだろう。
人を愛す能力を持った人たちとの縁を大事にして、その関係を長期的に維持する。それができれば、人を試すような行動はだんだんと影を潜めるはずだ。
人間がややこしいのは、表層ではなく深層に本当の問題が隠れているからである。
深層の問題には、他者も自分自身もなかなか気づきづらい。
もし深層の問題を自覚できれば、あなたの人生は必ず大きく前進し始めるだろう。