見出し画像

にゅうでりのもやもや 病院でがんの患者さんと再び関わらせてもらうか

4月以降、化学療法室の主担当になる同期の管理栄養士の子から、また化学療法室での栄養相談を一緒に担当してくれないかと誘われました。
誘ってもらえた日には、話す時間が十分になく、返事は今度ということになっています。この返事をするにあたって、もやもやと考え込んだ記録を書いておきたいと思います。


誘われたことに対する率直な気持ち

同期の子に久しぶりに頼ってもらえたのは、嬉しかったです。
残って働いている人たちは今も毎日たくさんの仕事をこなして大変だろうから、少しでも力になれることがあるのなら、力になりたいと思っています。
でも、引き受けるのは難しく、断らなければいけないかなと考えています。

この1年間化学療法室の栄養相談を担当させてもらわなかった理由

昨年正職員を退職する時に、パートとして働く場合に担当させてもらう業務について上司と相談しました。

その時には、もう化学療法室の栄養相談は担当したくないと伝えました。

化学療法室のメインの担当の上席者と合わないのが一番大きなストレスでした。

それと他の栄養相談に比べて、化学療法の合間という、より限られた時間で、タイミングを調整しながら多くの患者さんに関わらなければいけないシステムだったのも負担でした。

そして化学療法室の看護師さんも、少ない人数でたくさんの患者さんの抗がん剤の点滴を次々と交換しなければならず、ぴりついた空気感であり、それもまた化学療法室で栄養相談を担当することの苦手な要因の一つでした。

4月からは、主担当が同期の子になり、上席者は担当を外れます。
栄養相談の件数は勤務時間内で無理なく調整できるように配慮してくれるでしょう。

それでもやっぱり再び化学療法室の栄養相談を担当させてもらうのは、断ろうと思っています。

化学療法室での栄養相談の嬉しさと辛さ

ここまで何度も使ってきた化学療法室という言葉ですが、分かりやすく言うと病院の中にある通院で抗がん剤の点滴をするためのお部屋ということです。
そこで栄養相談をさせてもらうほとんどは、がんの治療している患者さんです。
がんと向き合っている患者さんに対して、食事・栄養の知識で少しでも役に立てることがあれば、役に立ちたいと思う気持ちは常にあります。
私は、胃がんの栄養管理に関する研究報告もしたくらい、がんの栄養療法に対する興味は強くあります。

管理栄養士として患者さんの役に立てたように感じられた瞬間をたくさん味わわせてもらえたのも化学療法室での栄養相談でした。
化学療法室でどんな栄養相談をするかは、それだけで何千字も書けそうなのですが、簡潔に書くと、抗がん剤の治療により、味覚が変わったり、嘔気が出たりするので、そういう時にどうやって食べたら良いかを相談しています。

役に立てたと感じることのあった一方で、それ以上に無力感も多々味わいました。
化学療法室で抗がん剤の点滴を受けている患者さんのがんの状態は様々です。
手術後、わずかにでもがん細胞が残っている可能性をなくしておくためというほぼ完治に近い状態の患者さんから、余命数ヶ月と分かっているけど、少しでも良い状態を保つため、緩和するための所謂ステージⅣという状態の患者さんまでいます。

どんなに栄養管理を頑張ったとしても、がんの進行は止められず、できる限りぎりぎりまで本人の希望の食事を食べさせてあげたいと願っても、「その時」は急にやって来ることも度々あるものでした。

担当させてもらっていた2年半ほどの期間でも、たくさんの患者さんとの出会いがあり、そして永遠のお別れもありました。

担当を離れて1年が経とうとしている今でも、化学療法室のどの座席・ベッドでどの患者さんとどんな話をしたか、今でも鮮明に映像を思い出します。
特に印象深い患者さんのことはフルネームで覚えていますし、一字一句違わずに再現できるくらいに会話の内容が記憶されいます。
本当は1-2つ、患者さんとのエピソードを紹介したいくらいですが、今回は割愛します。

生きるとは何だろうと患者さんと話す度に考えさせられました。

もちろんメインは食事・栄養の話をしているのですが、食事は生活と密接に関わっていて、生活全般の状況から、その患者さんの死生観的なものまで、食べることは生きること、そんな話の流れになることもしばしばありました。

共感力による自分の体調への影響

私はHSP(Highly Sensitive Person)の中でも、共感力が高めなエンパス気質だと思っています。お話をさせてもらった患者さんの気持ちが自分の心身の調子にも強く影響を及ぼします。赤の他人の患者さんの苦しみや悲しみも、まるで自分のことのように苦しく悲しく感じます。

実際は自分や身近な人となったらその10倍100倍と強い影響があるので、自分のことのようにと言いながらもやっぱり他人事だとは思いますが、他の人に比べた時に他の人よりは、他人の苦しみをどうでも良い、自分とは無関係なものとは思えないというような性質だと思っています。

もちろん自分のことのように苦しく感じるからこそ、少しでも患者さんの食べることに関わる苦しみをどうにかできるように、気持ちを汲み取りながら、提案してみることができているのだと思います。
それは、やりがいと捉えられる時もありました。
でもやはり今の私には気持ち的に負担が大きいと思います。

まとめ

退職してやっと少しずつ体調を取り戻せてきたところなので、また悪化するのは避けたいと思います。
なので今回の誘いは丁重にお断りして、違う面で何か力になれることがないか相談したいと思います。
あくまで働いている病院の化学療法室での栄養相談を1日に10人以上こなすことが心理的に辛いという話です。
がんの栄養相談をお一人ずつ受けることは、できる機会があればお受けしたいと思っています。
もし身近な方でがんの治療中の食事・栄養でお困りのことがある場合にはご相談くださいね。

病院のことが全く分からない、化学療法?栄養相談?の状態の人に、働いていた状況が伝わるようには書けていない部分もありそうで、難しい内容になってしまっていたかもしれません。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

いいなと思ったら応援しよう!