地下アイドルになった話①

去年の12月。私は承認欲求に飢えていた。

何をしていてもずっと「どうすれば承認欲求が満たされるのか」と考え、ツイッターに自撮りや絵を載せたりして、承認欲求を満たそうとしたが、満たされたという感じが全くしなかった。

褒められてすぐは嬉しいのだが、「でももっと可愛くて、絵が上手い子は他に沢山いる」「一番じゃなきゃ意味が無い」と思っていたから。今思えば、自分が一番自分の事を認めてあげられていないのに、他者から認められようとしても、承認欲求は満たされないんだと思う。

当時の私はそれに気が付かなかったので、承認欲求を満たす方法をひたすら考えていた。その結果、辿り着いたのが「地下アイドルになろう!」だった。歌も顔も性格も褒められ、承認欲求が満たされるだけでなく、お金まで貰えるなんて最高じゃないか!?

なぜアイドルではなく、地下アイドルを選んだのかというと、あんまり有名になりたくなかったっていうのもあるが、私の中でアイドルは光、地下アイドルは闇というイメージがあった。決して地下アイドルを悪く言ってる訳では無い。あまり上手く説明出来ないが、ある程度の闇があっても、地下アイドルはそれを個性として受け入れてもらえる。そう思ったのだ。

思い立ったらすぐ行動で有名な私は、地下アイドルを募集しているところに応募をし、運営の方と会って話しをすることになり、私の家の近くの某飲食店に呼ばれた。事務所とかで話するんじゃないの!?って思ったのは秘密。

約束の時間に某飲食店に向かうと、若い3人組が待っていた。運営の方だった。小太りのおじさんが出てくるのかなと思っていたので、少しホッ。3人は冗談を言い合うくらい、とても仲が良くて、こんな風に友達と話せたら楽しいだろうな、と心底思った。

「何故、地下アイドルになろうと思ったんですか?」と聞かれたが、「承認欲求を満たしたいからです!」とは言えず…「自信を持てるようになりたい」「歌が好きだから」と言ったような気がする。嘘ではなかった。

他に「好きなアーティストは何ですか?」「貴方はどういう性格だと自分で思いますか?」という質問に答えていき、約1時間話をしていたと思う。「他にも応募している子がいるので、メンバーが決まり次第、連絡させて頂きます」と言われて、解散した。

家に帰って、私はなんで運営の方みたいに楽しく笑えないのだろうと思ったら、急に虚しくなって、泣いた。





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