見出し画像

サンタさん

私は子供がいない。
これからも、多分いない。

でも、サンタさんをやってた時期がある。
私が高1の12月に、母がくも膜下出血で倒れた。
その時、末の妹はお絵描きが大好きな小1だった。

突然訪れた非日常。
専業主婦だった母が倒れ、
私はその役割を全然担えなかったけど、
なんとなく主婦業っぽいことをやっていた。

母は倒れた。
でも、クリスマスはやってくる。

多分母が倒れてから、2週間くらいだったと思う。
イブの夜、父の部屋に行った。
妹の枕元に置くプレゼントを受け取るために。

なんと、そこには…

去年のサンタさんのプレゼントと同じ、
お絵描きキットが…

40代で突然妻が倒れ、
大混乱の中で、
「でもなんとかサンタはやらないと!」
と選んだであろうプレゼントが。

まさかの去年と同じ…

時はイブの深夜。
今から新しいプレゼントは用意できない。


私はずーっとサンタさんはいると信じていて。
小3の時に、担任の先生の

「うちの子、まだサンタ信じてるのよ〜w」

って一言で物凄いショックを受けた。

妹には、そんな思いはさせたくない。

サンタさんはいる。

でもサンタさんは絶対、
2年続けて同じプレゼントは贈らない。

私高1。
次女中1。
末妹小1。

私は、自分のプレゼントを次女にまわし、
次女のプレゼントを末妹にまわした。

ちょうど高校生になって最初のクリスマスだったから、

「高校生になると、サンタさんは来なくなるんだよ」

って言い訳もできた。

クリスマスになると、いつも思い出す。
あのお絵描きキットはどうなったんだったかな…

あの頃は、

「同じプレゼント用意するなんて、お父さんなに考えてるの!?」

なんて思ってたけど。

父の歳に近付いてわかる。

40代なんて、まだまだ未熟。
そんな時に、家を任せてた妻が倒れたら、
そりゃ完璧な対応なんてできるわけない。

お父さん。
あの時はありがとうね。

もう、言えないけど。
お父さん、ありがとう。

全てのサンタさんに。
メリークリスマス!


いいなと思ったら応援しよう!