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うつとセルフケア
ストレスによって生じる不健康習慣の形成が問題になる例として、慢性疾患の生活管理が挙げられます。近年の研究において、糖尿病や高血圧などの慢性疾患のコントロール不良とタイプC性格との間には関連性があることが明らかにされています。
慢性疾患では、患者は常にセルフケアを行うことを求められるわけですが、福西(2000)によると、生活習慣病におけるタイプC性格は、がんの場合とは異なり、疾患のリスクファクターになるというよりも、むしろ生活習慣の乱れに関連する行動を起こしやすいパーソナリティ特性となると指摘しています。つまり、感情抑制は不健康習慣や疾患の形成に関与するだけでなく、セルフケアにも影響すると考えられるわけです。
健康心理学の領域で近年盛んに主張されているヘルスビリーフ理論によると、健康行動に対する行動意図(セルフケアを行おう)の発生は、個人の病気に対する認知(疾患の重大性、自分が病気であるという認知)と、病気対処にできるという信念(新しい行動結果に対する期待、現在の行動に対する結果期待)が結びつくことで生じるものです (宗像,1991; 堀毛,1997)。
このモデルによると、行動意図の発生において、問題の認知は重要な役割を果たすといえると思います。平木(2000)によると、感情抑制は心身の状態に対する認知に影響し、自己の問題を捉えにくくするといわれています。こうした自己認知のゆがみは、病気に対する認知を抑制すると考えられますから、感情抑制は、セルフケアの行動意図発生において、病気に対する認知を抑制し(問題ない、どうせやっても無駄)、健康行動にネガティブな影響をもたらすと予想されると考えることができるでしょう。
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