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F01:家族だから出来る事もある。

家族の中に介護や医療的ケアが必要な人がいるって、そんなに珍しいことでもなく、とりわけ、それを未成年者が担わなければならない「ヤングケアラー」が社会的問題として、定義されるほどになってきました。

私は、IFA(国際アロマセラピスト連盟)の認定を受ける為に学んだ養成校(以下、母校)を選んだ理由も、校長が介護現場へのアロマテラピーの導入を頑張っていたからで、IFA取得後、すぐに母校の介護アロマセラピストの学習と、母校が母体となったNPO団体で研修、及び、委託業務をさせていただいてきました。

高齢者施設でのアロマケアには、若干の縛りがあります。
1番には、予算なんですが、次いで共有スペースで開催する場合も、香りは空気中に拡散されますので、誰もが嫌な思いをしないようにと考えると、用意できる精油の種類(原材料となる植物の種類)も絞られてきます。
高齢者と言うのは、年齢的な問題よりも、身体の機能的な問題の方が注意する点であり、体内の水分量の減少、皮膚の乾燥度合い、脂肪や筋肉の残り具合、運動量、既往症もありますね。高血圧の薬は、毎日きまって飲んでいるはずなのに、既往症という認識がない方もいらっしゃいます。
うちの実父は、高尿酸血症とBPHに対する錠剤を飲んでいます。
薬を飲むようになったら、医者の処方が適量となるので、それまで飲んでいた「ノコギリヤシ」のサプリメントはやめた方がいいと言っていたのですが、施設にお住まいの方々と同じように、サプリメントもたくさん飲むと効くと思っている感じで、脳腫瘍で入院するまで、サプリメントを辞めさせられずにいました。
習慣が途切れたからかもしれませんが、今はサプリメントは辞めて、処方薬のみになっているので、薬剤の複合的な問題は起こりにくい状態になったと思います。もしかしたら、娘の言うことは聞かない実父ですが、他人の言うことには知ったかぶって同意するタイプなので(笑)入院中に薬剤師さんが、薬とサプリと飲む量について説得してくれたのかもしれませんね。

やや、横道にそれましたが。

アロマテラピーで使う精油は、日本では「雑貨」として、手軽に購入可能ですが、人体への作用(薬理)は認めざるを得ない状況であると思います。
『精油』は基本的に血圧を下げる。鎮静する。と言う作用が多いのですが、中には、血圧を上げる。と言う事が伝えられている精油もありました。
2014年に出版された『精油の安全性ガイド第二版(日本語訳は2018年)』では、数々の論文を精査した結果、薬理成分として「血圧を上げる」と言う成分が判別できたわけではありませんが、リスクが考えられる精油はリストアップされています。そう言った意味で、情報のアップデートが共有されないと、企業、組織としては選択できない精油もありました。

しかし、ご家庭では、基本的にご家族間での共有スペースであり、予算は限られているかもしれませんが、家族間の既往症は共有できる情報だと思いますので、出来ることの制限がないかもしれません。

家庭での介護では、「日常的に自然の香りを取り入れる。」
「心と体に働きかけるエビデンスベースの香りを取り入れる。」
この2点が主な目的になるかと思います。
これにより、QOLを上げるということです。
このQOLは患者だけでなく、同居家族も含みます。

例えば、トイレの芳香剤より、精油のヒバを使用する。
あるいは、ヒバ以外にも抗菌、抗真菌、抗ウイルス(エンベロープありのウイルス)の増殖を抑える臨床報告のある精油がありますので、その中から、家族みんなが自然と呼吸が促されると感じる香りを選ぶこともできます。
一緒にマンダリン(温州みかん近縁種)や柚子などブレンドすると、リラックスできて、消化器官のバランスを整えるサポートになるでしょう。

トイレの匂いの基本は、体液の匂いと、その体液を餌にした雑菌の繁殖によるものですよね?匂いだけマスキングして分からなくするのは、衛生上、違うのではないかな?と、思います。
多種の薬剤を投与しているせいか、病気によって患者さんの匂いも違うと体感しています。あ、そう言えば、犬は血糖値の上昇や、心臓発作の前兆、癌などなど、体臭で嗅ぎ分けられるそうで、病気によって独特の体臭になると言うのは、立証されつつあるかもしれませんね。

トイレがベットの隣にあるという状況か、家族と共有できているかによっても、状況は変わると思いますが、患者と同室という場合は、時間を香りでコントロールする事もお勧めしています。
個室の場合も、居住空間より狭い空間になるので、芳香拡散器(ディフューザー)で能動的に拡散させたくなりがちですが、熱を加えず、自然蒸発で拡散の量を抑えることをお勧めしています。
ディフューザーにお金をかけるよりも、精油にしっかりとお金をかけてもらいたいので、愛あるアイディアの100均利用のディフューザーもご紹介しています。

同室の場合、空気清浄機を利用して消臭をしている家庭もあるかもしれませんが、特にオゾンを発生させるタイプのものと一緒に使用する事で、香り付き生活日用品及びアロマテラピーを有害なものにする恐れがありますので、注意が必要です。
人間が柑橘系の香り?と感じる芳香成分に「リモネン」と言う物質があります。「テルペン類」と呼ばれる芳香族化合物で、酸化することで有害になることが知られています。特に空気中にディフューザーで拡散する場合は、精油を希釈せずに使うことが多いと思いますが、そうなると微粒子といえども原液のまま空気中に存在し、理論上、原液のまま人体と接触する可能性もあります。
このうち、問題となるのは、空気と一緒に「肺に取り込むこと」と、「皮膚との接触」です。
精油は加工されていない為、揮発性と言うその特性から空気より重いことは考えにくく、上へ上がったものが自然に落ちてくることはないと思いますが、日用品のニオイは、エビデンスがないので分かりません。
加湿器と共に利用していると、精油は水とは混ざり合わないが原則なので、水蒸気に混ざることは考えにくいですが、部屋中に充満する感じは体感しているので、何か理論がありそうな感じです。
実際、アロマセラピストになる勉強中に、同室にいた老犬の体調を悪化させてしまった失敗談が私にはあります。大反省事件なので、自然療法の基本の「き」を含む講座では、よく話をさせていただいてます。

芳香拡散には、知られている問題は、あまり多くはないのですが、呼吸器系と神経系の安全性の確認はしなければなりません。それは、精油全体的にと言う意味と、原材料と抽出法により個別に変わる詳細な安全性によるものがあります。
人体側の嗅覚の特性により、一定量を一定時間嗅ぐとニオイは知覚認知されなくなりますので、自ずと使用量が増えてしまい、用量的に有害となることもあります。
また、テルペン類の酸化による大気汚染と、「リモネン」の酸化による有害性が指摘され、オゾン発生器のそばで使わないようにする事の警告は、既に欧米では周知されています。
日本は、有害性より利益追求が多いと感じますので、自分の身を自分で守るためには、自分で学ぶ。これしかないように思います。
参考文献:ロバート・ティスランド/ロドニー・ヤング.精油の安全性ガイド 第2版.フレグランスジャーナル社,2018

上記の内容は、以下のコースに含まれます。

講座コース名:自然療法の基本の「き」
 ・植物にとっての精油
 ・人体に作用する4つの経路

講座コース名:家族介護のアロマテラピー
 ・アロマテラピーによる時空間の認知サポート

と言うわけで今日はここまで。
実践的な講座の中身は、ぜひ、有料にさせてください。
パンデミックで行き詰まっておりますが、講師活動も実績ありますので、よろしくお願いします。

この記事は、「介護に活かすアロマテラピー」として、まとめています。

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Healing Space ORCA / Sachiko
ご支援ありがとうございます。いただいたご支援は精油の購入や「アロマケア」の臨床研究費としてありがたく頂戴して、研究成果を発表していけるように頑張ります。今後ともよろしくお願いします。