プレーオフ批判への批判

毎年この時期には一部の人にはJ1リーグ優勝争いよりも盛り上がる、J1昇格プレーオフが終わりました。また、今年からはJ2昇格プレーオフも始まり、同様に盛り上がりを見せました。

プレーオフという制度は、レギュラーシーズンの後のポストシーズンに行われるものであり、レギュラーシーズンの結果に基づいてプレーオフでの対戦相手やアドバンテージが決められ、その上で場合によってはレギュラーシーズンの下位チームが上位チームを倒すこと(いわゆる下剋上)があります。

この下剋上が発生する度に、「プレーオフはシーズンの頑張りを無駄にする制度であり止めるべきだ」という批判が出てきます。

これはJリーグの昇格プレーオフだけではなくて、NPBのクライマックスシリーズでも同様で、3位のチームが2位と1位を倒して日本シリーズに出ることはたまにあり、その度に「クライマックスシリーズなんて止めてしまえ」と言われます。

負けた当事者が言っているならただの負け惜しみとも言えますが、部外者・第三者的な立場でもそういう批判を行う人がいます。そうなると、プレーオフ批判への批判を行うべきでしょう。

そもそも、プレーオフが実施される前やその後にプレーオフ批判したってしょうがないでしょう。せめてシーズン前に言っているなら分からなくもないのですが。

また、負けた時にだけプレーオフなんて要らないと言い、プレーオフによって下剋上を行った時には文句を言わないのも自分勝手と言えます。プレーオフに勝った上で「プレーオフ制度は不公平だ!」と言って辞退するなら格好いいですけれど、そんなことをするチームなんてこの世の中に存在しません。

それと、プレーオフにはシーズン中盤以降の消化試合を減らす効果があります。これにより中位・下位チームのモチベーション維持や興行収入の確保が出来てるメリットを捨ててまで、プレーオフを無くすことはビジネス上、難しいでしょう。

そもそも、プレーオフはプレーオフ批判をしそうな人、特にコアファンのために行われるものではないのです。比較的ライト層なファンやそれ未満の人たちを惹きつけることが大きな狙いの一つです。ライトファンを獲得し続けられないコンテンツは、将来的に衰退していく以上、コアファンのためにプレーオフを止めるのは筋が通りません。

だったらJ1リーグでプレーオフが存在しないのはおかしいじゃないか(実際は最近では2015年~2016年だけ行われました)と言われるかも知れません。ただ、J1所属チームには、Jリーグカップ(ルヴァンカップ)と天皇杯で勝ち上がり、J1リーグ優勝は無理だけれどカップ戦タイトルは夢を見られる、というケースが存在します。もちろん、J2やJ3クラブにもカップ戦タイトルのチャンスはありますが、力量的には大きな差があります。プレーオフはなくともカップ戦が一部の中位・下位クラブのモチベーションも生んでいます。また、そもそもJリーグには残留争いもあるので、優勝争い・昇格争い・カップ戦タイトル・残留争いのいずれにも絡まずに早々と消化試合に入るチームは非常に限られています。

一番、ファンが慣れていないのはNPBのクライマックスシリーズでしょうか。導入からしばらく経ちましたが、かつてのセパ6チームずつからの優勝チームが日本シリーズを戦うというフォーマットが、非常に長い間続いた以上、ファンの戸惑いもしょうがないところはあるでしょう。

逆に、アメリカではMLB・NFL・NBAのいずれもプレーオフ制度が長く続いており、レギュラーシーズンはプレーオフ進出権を賭けた戦いに過ぎない、と言っても良いくらいの割り切り方もあると思います。この辺は、日本の野球ファンには慣れるくらいまで待つしかないのかなと思います。

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