元ヤングケアラー ノブコブ徳井さんの「誰にも頼らない心理」に共感した瞬間
平成ノブシコブシの徳井健太さんは元ヤングケアラーだ。先日、その経験について取材した。
聞けばなかなか壮絶な生活だったようだ。しかし当の徳井さんは、「困っていなかったから誰にも助けを求めようと思わなかった」と振り返る。
仕事柄、元ヤングケアラーに話を聞く機会があった。どの人も、周囲の大人に相談しようと思わなかったと語る。人に頼ったほうがラクなのに。
徳井さんの話を聞きながら、なぜだろうと考えた。自分に置き換えてみると、あぁそうか、僕も同じだ気づいた。
僕には障がいをもつ娘がいる。側から見ると大変な子育てをしているらしい。たしかに大変なことや辛いことはしばしばある。しかし、それが当たり前であるがゆえ、相談したり誰かに頼ったりしようとはあまり考えない(レスパイトなどを利用することはある)。子育てしやすい環境で働けているのも理由のひとつだ。
当時の徳井さんも、今、なんらかのケアをしている子どもたちも、きっと同じような感覚なのだろう。自分の家のことは自分たちで、と考えてしまう。
人に助けを求めるまでに、自分の中でいくつかのハードルを超えなければいけない。人に気を遣う人間ほど、そのハードルが多く、高い。恥ずかしさや申し訳なさが先に立ってしまう。ましてや、子どもに対して「大人に相談しろ」は無理難題だ。
後半で徳井さんが語る「ヤンキー話しやすい理論」は、この障壁を越えるうえで重要な考えかもしれない。
人を救うには多様なアプローチがある。その中には予想外の方法もあるかもしれない。
ヤングケアラーを救うきっかけがイケイケな兄ちゃん姉ちゃんだと想像すると、なんだか心強く感じる。
徳井さんの話を通じて、ヤングケアラーの実情に対する理解が深まり、互助の輪が広がるきっかけとなればと思う。