日本最大級のローコード開発基盤を提供!BlueMemeが新規上場へ【株式会社BlueMeme】のビジネスモデル調査と人事課題推測
最終更新日:2024/4/5
当noteでは、各企業のビジネスモデルを分析しています。
また、取締役会のスキルマトリクスを分析し、コーポレートガバナンスコードに沿った経営の実践度を確認しています。
セレクションアンドバリエーションでは、さらなる事業価値増大に向け、特に中堅規模の上場企業におけるスキルマトリクスのあるべき姿を提言し、現経営層のさらなる活躍、そして次世代経営層育成に向けたボードサクセッションの仕組みの導入を支援しています。
資金調達額の推移
⇒累計資金調達額30億2500万円以上
※上場日:2021/06/29→初値2,850円
筆頭株主は投資ファンドのインテック・アイティ2号投資事業有限責任組合であり株式シェア27%を有している。投資ファンド以外に取引先も株式を保有しているが、個人株主も多数存在している。
企業概要
社名である BlueMemeは、「光り輝く」という語源をもつ「blue(ブルー)」と、文化を形成する情報を伝える意伝子を意味する「meme(ミーム)」という二つの単語から構成されている。「文化を形成する優れた情報を世界中に伝えていく」という理念が込められている。
事業概要
ローコード技術とアジャイル手法を中心としたDX事業を展開している。導入アセスメントのコンサルティング事業も幅広く行っている。
OutSystemsを使用したローコードエンジニアを育成する教育サービス、データベースプラットフォーム「MarkLogic」、ローコードのインテグレーション基盤である「Workato」と「Softools」などを手がけている。
ビジネスモデルの図解
事業における強み
1. 少人数による短期開発
短期間で検証や改善を繰り返す『アジャイル開発』と、少ないプログラミング作業で済む『ローコード開発』を組み合わせた独自の受託開発サービスを提供している。
2. 安定的な開発
従来のアジャイル開発の不備を補うことで、大規模なシステム開発を実現している。従来のアジャイル開発では、スピードとテストを重視する反面、業務分析や機能設計の上流工程が考慮されていない。そこで、上流工程やテスト工程の作業を標準する管理手法を開発・導入している。
3. ローコード技術者の短期育成
ローコード開発を行う人材創出のために、3~6ヶ月の実践教育プログラムを保有している。これまで主流であったスクラッチ開発による受託開発を行うためには、技術者は3~5年の現場経験が求められてきた。Bluememeでは、ローコード開発ツールベンダー認定資格のトレーニングと同社のノウハウを活用することで、短期間の集中的な人材育成が可能である。
市場規模
【市場規模の推定】
ローコード開発市場:2143億円(2018年)
約9.3兆円といわれるシステム受託開発市場におけるローコード開発市場の比率は2018年次展で約0.21兆円に留まっており、今後の成長・拡大余地は大きいといえるだろう。
IT人材が2030年に79万人もの人手不足が指摘されている(経済産業省)ことを踏まえて、IT人材の平均年収を450万円と仮定した場合の市場規模を算出した。
【市場全体のトレンド】
ローコード開発市場は、年平均16.3%で成長している。2023年の市場規模は4560億円になると予想される。ローコード開発が進むにつれて、アプリケーション開発がますます迅速に行われると考えられる。
スマートフォンの使用の増加とローコード開発プラットフォームでのAI技術の採用の増加は、ローコード開発プラットフォーム業界の成長を大きく促進すると予想される。
成長戦略
同社の受託開発サービスは、複雑性がやや低く中規模から比較的大きい規模のシステム開発の領域を対象範囲としているが、今後は以下の3ステップで対象領域の拡大を行う。
①中小企業のシステム開発
②複雑なシステム開発
③大規模なシステム開発
マネタイズに関して
【キャッシュポイントの額と頻度】
ソフトウェアは年間のサブスクリプション契約で提供している。1社あたり、年間700万円程度でライセンスを販売している(2019年時点)。
技術者向けトレーニングは、月に1回開催されておりその都度費用を回収している。受講者がアプリ開発やスキルに応じて複数のトレーニングの中から受講したいものを選択できる。5日間で33~39万円である。
【固定費】
人件費、減価償却費
【変動費】
不明
経営層
代表取締役社長:松岡 真功
ネット証券、外資系ERPベンダ、外資系システムベンダーにて、エンジニアリングとコンサルティングに従事。
取締役COO:辻口 真理子
大手シンクタンクにてJavaを用いた業務アプリケーションの開発に従事。
取締役CTO:朱 未
組込み系、外資系ソフトウェアベンダーにて、ソフトウェア開発に従事。
取締役CFO:市川 玲
外資系ERPベンダ、外資系コンサルティングファームにて、コンサルティングに従事。
取締役:川根 金栄
常勤監査役:杉山 和彦
スキルマトリクス
ミッション・ビジョン
ミッション
最新技術を活用した次世代型の情報システム開発を実現し、日本企業の国際的な競争力を向上させる
ビジョン
新たな価値を創造し、常識を変え、文化を進化させる
人事制度設計
【採用】
・新卒採用:有
・中途採用:有
・媒体 :自社HP
・採用職種:エンジニア職、クリエイター職、総合職
・選考方法:会社説明会→書類選考→面接(1~2回)→内定
【等級・配置】
記載なし
【評価制度】
記載なし
【報酬】
・報酬水準:月額 250,000円(普通残業45時間、深夜残業10時間含む)
※時間外手当は、時間外労働の有無にかかわらず45時間、深夜10時間を固定残業代として支給。固定残業時間を超えた時間外労働は1分帯で追加で支給。
・各種手当:近隣住宅手当(通勤手当含む)
・給与改定:年2回(6月、12月)
【教育】
・社内勉強会
・社員とパートナー企業を対象にした、社内での知識およびスキルの共有
【その他、福利厚生など】
・社会保険完備(厚生年金保険、健康保険、労災保険、雇用保険)
・本格的なドリップコーヒー(無料)、ビアサーバー(無料)、みそ汁サーバー(無料)、OfficeYasai(会社補助あり)、自動販売機完備(格安で購入可)
・社内休憩室2部屋完備、健康診断、女性社員は女性特有検査有(会社全額負担)
・社内イベント(屋台船、カクテルクルーズ、生ハムパーティ、ビンゴ大会、BBQ、Switch大会等)、入社時歓迎ランチ
インターン生による考察
BlueMemeは、2018年に連結子会社であるOpenModelsを設立している。さらに、2021年6月にマザーズ上場を果たしている。ローコード開発市場が急速に拡大していく中、今後さらなる事業拡大が期待される。
一方、BlueMemeを含むローコード開発市場全体の脆弱性として、クラウド上に組み込まれていない要件には対応できないことが考えられる。受託開発サービスは、あらかじめ組み込まれた操作の範疇で行われるため、顧客企業にオリジナリティの高いサービスを提供することは困難であるといえる。個別にカスタマイズしたアプリ開発ができなければ、サービスの同質化が進む恐れがある。
ガバナンスについて
独立性が担保されており、ガバナンスの観点から優れているといえる。
同社は着実な成長を続けているが、当サービスは受託開発型サービスであり、開発案件が大型化しても利益額は大きく増えない可能性がある。そのため、DX対応などシステム開発ニーズに応じた新サービスの拡充の必要性に問われる可能性を考慮して高度IT専門性やグローバル対応力に強みのある経営陣を構成することが、今後の成長のカギを握るだろう。
※この記事は弊社長期インターン生が分析、編集しました。
※スキルマトリックスの基準が違えばご連絡ください。
調査担当:SAY
さいごに
スタートアップ・ベンチャー企業に必要な人材マネジメントについてはこちら
弊社代表平康によるCGCとスキルマトリクスに関する記事はこちらから
【免責事項】
本調査は弊社長期インターン生により作成されています。また、本調査は、現在弊社が入手し得る資料及び情報に基づいて作成したものですが、弊社は、その資料及び情報に関する信憑性、正確さを独自に確認しておりません。本資料において一定の仮定を用いた試算を行っている場合、その試算結果は仮定に基づいた概算であるため、別途詳細な検討が必要です。