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SES(というか派遣業)が大企業になるまでの成長3段階と経営課題

セレクションアンドバリエーションの平康です。
中堅~中小クラスのSES(システムエンジニアリングサービス)会社からのご依頼が増えています。
ご依頼いただく際に、それぞれの会社の方は、口をそろえて「うちの会社の悩みは独特で……」とおっしゃるのですが、9割の会社は3段階に区分できるので、それを書いてみようと思いました。
パターンがわかれば打ち手も考えやすくなるので、ぜひ自社に当てはめてみてください。
なお、SESに限らず、人材派遣業全般にも適用できると思うので、応用していただいてもよいかもしれません。

事業成長の3ステップでSESはパターン化できる

SESの経営課題や人事課題は、事業としての成長段階で区分できます。
第1段階は「なりゆき事業化段階」
第2段階は「固定客定着段階」
第3段階は「利益率重視段階」

第1段階が始まるきっかけは、良い人いたら送ってよ、という事業会社からの声掛けから始まることが多いようです。
まさになりゆきで事業になっていく段階です。
たとえばもともと大手事業会社側にいたシステムエンジニアが離職してふらふらしているときに「暇してるならちょっとお願い」「他にも知り合いがいたら一緒に」という感じで声を掛けられることとか。
そうして気が付けば3人程度送り込んでいるとき、たまたまほかの知り合いからも声がかかり、5人、10人と送り込む人が増えていくような状況です。人の確保は基本は知り合いベースで、前職や前々職のネットワークに頼ることもあります。
売り上げでいうと3億円~8億円くらいまではいくんじゃないでしょうか。
ここでの課題は初心者採用基礎教育御用聞き営業です。
この課題をクリアできれば、第2段階に行くことができます。

第2段階はそれらが拡大して、100~200人くらい送り込むようになった段階です。売り上げも10億円~30億円くらいになります。
この段階では、5人を送り込んでいる会社が20社くらいで、それ以外に10名を送り込んでいる会社があったり、1人だけ送り込んでいる会社があったり、という感じになってきます。
固定客に支えられ、事業として形になってくる段階です。
一方で、どこの契約がいつまでで、誰が空いているのかがわからなくなったりもするので、社内管理体制が整備されはじめます。
会社っぽくなってくるのはこの段階からでしょうか。
ここでの課題は、アカウント営業推進現場リーダー任用(教育ではない)などです。顧問営業体制を整備できると、1次請けを目指すこともできます。そうしてメインクライアントが複数できてくれば、第3段階に進むことができます。

第3段階は500人~1000人くらいを抱える状態で、売り上げは100億円を超えてきます。このあたりで人の出入りはどんどん膨れていきます。1000人の体制で、毎年200人やめて200人雇うという状態になることも多いようです。
人の出入りもそうなんですが、長期勤続の人も増えてきて、年功的な給与制度の会社だと、人件費増に悩むことも増えてきます。
そうして、利益率が気になり始めます。そのため、優良顧客にしぼろうとしたり、請負化を考えたりしはじたり、M&Aで顧客タイプを増やそうとし始めます。
そのため、ここでの課題は、営業体制構築請負可能化(そのための体制整備)、ブランド明確化などです。
それらを超えていければ、1000億円以上の規模を目指せるでしょう。

そもそも人事制度が後手に回るとうまくいかない

3段階のいずれの段階においても弊社は人事制度設計及び運用をご支援してきたのですが、各経営課題が浮き彫りになってしまう原因は、だいたい一つに絞れます。

それは、人事制度改定が後手に回っている場合です。

簡単に言えば、第2段階を目指すのなら、第1段階中に次のステップに向けた人事制度を整備しておくことが望ましいのです。
もちろん、第3段階を目指すには、第2段階中に対応したほうがよい。そうしないと、前に進むために自動車のアクセルをしっかり踏んでいるのに、タイヤに空気が入っていなくてまったく進まないような状況になってしまいます。

実際にご支援した例でいえば、第2段階から第3段階に向かうための人事制度整備をご紹介できます。
そこそこ顧客がある状況で、売り上げも80億円くらい。
けれども次のステップに行こうにもよくわからない、という状況でした。
そこで構築した人事制度のポイントは3つです。

1.営業マネジャー制度の構築
2.エンジニアキャリアの伸長
3.企業ブランド構築

営業マネジャー制度とは、属人的な営業から組織営業への転換です。
業務プロセスの見直しやリード管理システムの導入に加え、営業職の組織的評価基準と育成段階を明確にしました。
エンジニアキャリアは、請負化による利益率向上に向けて必須の対策です。簡単に言えば「営業よりもエンジニアが偉い」体制の構築です。これは派遣業の常識と対立するので、コンサルティングファームの考え方を適用する必要がありました。
そして企業ブランドの構築として、社名と理念に意味を持たせました。

これらの対策によって、無事第3段階に到達し、さらなる成長を目指すご支援ができたのです。

俯瞰&逆タイムマシン的に見れば案外打ち手は見えてくる

SESはこれからも拡大可能性が高いビジネスです。
一方で、第1段階や第2段階で止まってしまう企業もたくさんあります。
次のステップを目指したいSESの方は、ぜひご相談を。