ゲーム産業と共に成長するゲームクリエイターの人材派遣会社【株式会社コンフィデンス】のビジネスモデル調査と人事課題推測
最終更新日:2024/4/16
当noteでは、各企業のビジネスモデルを分析しています。
また、取締役会のスキルマトリクスを分析し、コーポレートガバナンスコードに沿った経営の実践度を確認しています。
セレクションアンドバリエーションでは、さらなる事業価値増大に向け、特に中堅規模の上場企業におけるスキルマトリクスのあるべき姿を提言し、現経営層のさらなる活躍、そして次世代経営層育成に向けたボードサクセッションの仕組みの導入を支援しています。
資金調達額の推移
上場の目的として、社会的信⽤度及び認知度の向上、戦略投資の際の資⾦調達⼿段の多様化が挙げられている。また、調達資金は新規拠点の開設費用、及び事業拡大のための人材採用費用及び人件費に充当予定とのことである。
企業概要
事業概要
ゲーム・エンタメ業界向け人材派遣・人材紹介・業務委託を行っている。
・HR Solution事業
HR Solution事業では、ゲーム・エンタメ業界のクリエイターのキャリアを多方面からサポートするサービスを展開している。
個人の働き方と企業のニーズに合わせて、最適なマッチング(人材派遣・人材紹介・フリーランス)を提供する。
・Outsourcing事業
Outsourcing事業では、ゲーム・エンタメ業界のアウトソーシングニーズに対応する多種多様なサービスを展開している。
ゲーム開発の最後の砦として品質を担保するQA、 海外展開を支援する多言語ローカライズ、お客様の抱える課題を迅速かつ正確に解決するカスタマーサポートといったサービスを提供する。
・Media事業
Media事業では、ゲーム・エンタメ業界に特化したメディアを複数運営している。
子会社Dolphinとの内部連携で培ったノウハウを活用し、企業のデジタルマーケティングを支援するサービスやSNS・SEO・オウンドメディアなど各種プロモーション支援サービスも提供する。
ビジネスモデルの図解
事業における強み
1.人材採用力
ゲーム業界に特化することで効率的に集客を⾏い、安定的な採⽤を実現
クライアントのニーズに常に応えられる⼈材の供給を確保
・豊富な応募者数⇒約1万人/年
・採用広告比率⇒約1.4%
・採用LTV⇒約19倍(1⼈当たり採⽤コストに対して1⼈が⼊社から退職までどれだけ売上総利益を稼得したか計算したもの)
2.企業・求人開拓力
経営陣の⼈材業界に対するノウハウとゲーム業界に特化することによる知⾒の早期蓄積により、創業7年で業界を席捲した徹底度の⾼い営業⼒
・派遣事業一人当たり売上高5年連続増加
・取引者数5年連続増加、派遣事業売上総利益率は一定水準を確保(約32%)
・1社あたり配属数5年連続増加
・マッチング力
ゲーム業界に特化したことによる業界への知⾒から⾼い精度かつスピーディーなオペレーションでマッチング数を⾼レベルで維持
・クリエイター年間平均稼働率98.8%
・約70%の求職者が採用面談から成約まで1か月以内に配属先が決定
想定用途・市場規模
ゲーム業界への人材派遣を行っているため、ゲーム業界を参考にする。
【市場規模の推定】
ハードウェア市場:1,856.6億円、前年対比116.4%増(2020年)
ソフトウェア市場:1,817.2億円、前年対比108.9%増(2020年)
(出典:ファミ通ゲームソフト・ハード売り上げランキング2020年年報)
モバイルゲーム市場:1兆2,113億円(2021年)
(出典:ファミ通モバイルゲーム白書2021)。
【市場全体のトレンド】
ゲーム業界においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う巣ごもり需要によって、国内家庭用ゲームのハード・ソフトともに市場規模は拡大している。
加えて、世界のモバイルゲーム市場は7兆7,255億円、前年対比7.5%増であり、その中でも日本の市場規模は1兆2,113億円占めている。
【ベンチマークとなる企業】
・株式会社イマジカデジタルスケープ
・株式会社リンクトブレイン
【事業についての考察】
ゲーム業界全体の成長が見込めていて、かつ企業の固定費を抑えたいというニーズにうまく対応することができている。
ゲーム業界の人材に特化していることで他の人材派遣とは大きく差別化できている一方、一般的な人材派遣と大きくビジネスモデルは異なっていない。
ゲーム業界の人材需要はまだまだ増加すると考えられているため、強い採用力を活かして従業員を大幅に増加し、今後も市場と共に成長すると期待できる。
マネタイズに関して
【事業全体の収益性に関して】
人材事業が売上の約98%、メディア事業で約2%である。
派遣事業の売上総利益率は約32%であり、営業利益率は16.9%である。
【固定費】
人件費
【変動費】
外部業者への支払手数料
経営層
代表取締役社長:澤岻 宣之
常務取締役:吉川 拓朗
取締役:永井 晃司
取締役:竹下 和広 ※退職済み(2023年3月時点)
社外取締役:雨宮 玲於奈
社外取締役:水谷 翠
監査役:谷地 孝
非常勤監査役:髙倉潔 (2023年3月時点)
監査役:安國 忠彦
スキルマトリクス
ビジョン
ビジョン
“クリエイティブの最前線で共に未来を描く”
クリエイターがキャリアアップにより⾃らの夢を実現し、携わった作品が評価され、所属する組織、業界、社会が発展する未来を共に創りあげていく
人事制度設計
【採用】
・新卒採用:有
・中途採用:有
・媒体 :自社HP、マイナビ、doda、エン転職など
・採用職種:技術本部(エンジニア)、営業本部(法人営業)、経営戦略部(経営企画)
・求める人物像:記載なし
【等級・配置】
記載なし
【評価】
年に2回、自分自身で「どのようにクライアントに貢献していくのか」を考えて目標を立て、半期ごとにその達成度を確認。
【報酬】
【経験者】月給22万円~70万円+各種手当
【未経験者】月給20万円以上+各種手当
【各種手当】残業手当(100%支給)、住宅手当、役職手当
【賞与】年2回(2019年度実績:2カ月分)
【教育】
新人研修を実施後、各部署をローテーションで体験し配属部署を決定
先輩社員からOJTで業務を教わりつつ、早期から実践的な業務を行う
【その他、福利厚生など】
社会保険完備、交通費支給(当社規定による)、研修制度、資格取得支援制度(当社規定による)、評価制度(年2回)、各種表彰制度※チーム単位の表彰(賞金あり)や勤続表彰等、社員紹介制度、服装自由(出向先による)
インターン生による考察
ガバナンスについて、水谷翠氏は社外取締役ながらも他社での監査役なども務めていることから、より一層ガバナンスが効く体制が整っていると考えられる。
ただ気になる点として、取締役の竹下氏と社外取締役の雨宮氏は、株式会社コンフィデンスと事業領域が重なっていると考えられる株式会社Grooveの代表取締役と取締役であるということが挙げられる。
また、コンフィデンスは採用力がとても強く1年に1万人の応募がある。レベルの高いゲームクリエイターを採用することが出来ていると考えられる。レベルの高い人材が集まるほど、人材の引き抜きや転職のリスクが高まると考えられ、それを避けるために組織としてのビジョンや求める人物像などをアピールすることで組織の求心力が高まり、継続的な規模拡大が可能になると考える。
※この記事は弊社長期インターン生が分析、編集しました。
※スキルマトリックスの基準が違えばご連絡ください。
調査記入:SHO
さいごに
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【免責事項】
本調査は弊社長期インターン生により作成されています。また、本調査は、現在弊社が入手し得る資料及び情報に基づいて作成したものですが、弊社は、その資料及び情報に関する信憑性、正確さを独自に確認しておりません。本資料において一定の仮定を用いた試算を行っている場合、その試算結果は仮定に基づいた概算であるため、別途詳細な検討が必要です。