仕事と健康の両立 長時間労働の視点からみる健康
こんにちは。人マネ研です。
本日は、「仕事と健康の両立」と題し、就業上の健康課題について深掘りしていきたいと思います。
東大生はじめ、周りの総合職無限定正社員の皆さまをみると、よくもまあ長時間労働かつ高負荷労働をこなしている人が多いです。
世のなかには働かずに生きている人もいれば、17時台の電車に乗っている人もいますが、彼らには想像つかないくらい仕事にオールインしている人が多いです。
長時間労働の実態は一部以下のnoteで軽く見ましたが、今一度見てみましょう。
年平均労働時間を国際比較すると、日本は、欧州諸国より長く、週 49時間以上働いている労働者の割合が高いです。これでも前と比べてましになったのは、全体的に女性やシニアなど、短時間の就業者が増えたからです。
男性については、特に長時間労働の割合が高いといえます。
今回は長時間労働はさておき、健康についてフォーカスしていきましょう。
日本における健康課題の概況
健康課題については、前提年齢・性別で大きな違いがあります。
男性特有の病気、女性更年期特有の病気など、発症に差があるものはもちろん、以下の図のように自覚症状がある人の割合は女性の方が高くなっています。
一方、健康上の問題における最悪の帰結たる自殺者は男性の方が多く、2倍程度の差があります。
割合でみると大きく差があることがわかります。30代,50代,70代以上で男女差が大きいといえます。
これは、そもそも女性の方が80代で長生き(仕事・家事できる程度には元気である女性が多い)であることや、家事分担が女性に偏っていることも影響している可能性があるとしています(内閣府, 2024)。
家事分担が女性に偏っているなら、仕事分担は男性に偏っているなかで、家事分担のみが健康上の問題につながるということまで示さないと、それは言えないような気もしますが、内閣府のお偉いさんがそういっているのならそうなんでしょう。
ということで、男女差を見出すために、男女差がありそうな性別特有の病気をみていきましょう。月経や悪性新生物など、女性の方が特有の病気を抱えていることが多く、現役世代で子宮がんにかかる可能性があるというところが差分といえるでしょう。
男性ががんになるころには、仕事という概念をケアする必要はないので、上記「健康上の問題で仕事・家事に影響がある」というスコープからは外れてくるのではないでしょうか。
「日常生活で悩みやストレスがある」とする者の割合は、全ての年代で男性よりも女性の方が高く、20代から70代では、女性の方がおおむね10%ポイント程度高くなっています。
背景要因をみると、男女ともに傾向は概ね変わっていません。
ここまでの議論をまとめると、男女で直面する健康課題が異なることが問題としてあげられます。労働市場の慣行と対比すると、長時間労働や転勤を前提とするなかで、職場では「男性並み・独身並み」が求められます。
そういった職場では女性に対して健康支援がフルに行われているとは言いがたく、注目はされていないものの、健康に働くということにもう少し目を向けていく必要があるのではないでしょうか。
生活時間と健康
平日の生活時間をみると、単独世帯の世帯主である有業者においては、男女に大きな違いはありません。
一方、末子の年齢が6歳未満の共働き夫婦の妻と夫の平日の生活時間をみる と、家事関連時間が女性に、仕事時間は男性に大きく偏っていることがわかります。
就業時間についてみると、男性の約2〜3割、女性の約1割弱程度が週間の就業時間49時間以上、男性の1割が60時間以上という状態になっています。
男性の1割は毎日4時間残業しているわけですか。なかなかですね。まさに人生の半分を仕事に費やしています。子育て世代では比較的割合が高く、分業も合わせて考えると、まさに「お爺さんは山に長時間芝刈りに、おばあさんは川に長時間芝刈りと洗濯に」になっているわけですね。
これの何が問題かについてみると、長時間労働であればあるほどうつ病の疑いがあるという割合が増えています。
週に60時間以上働くと、26.8%はうつ病の疑いがでてくるわけですね。早く帰りましょう。
睡眠時間と健康
長時間労働やワークタイムインターバルが取られない結果として、さまざまな疾患リスクが高まることがあげられます。理想の睡眠時間と現実の睡眠時間との乖離が大きくなるにつれて、うつ病の疑いがある割合が高くなります。
早く帰ってたくさん寝ましょう。
ただ問題は結構根深く、働く女性が増加し、共働き世帯数が専業主婦世帯数の3倍となっている中で、家事・育児等が女性に偏ったままの現在、女性は睡眠 時間を減らすことで対応している可能性があるといえます。
男性は、依然として長時間労働も多い状態の中で、睡眠時間の確保及び家事・ 育児等との両立に苦慮していることがうかがえるのではないでしょうか。時間は1日24時間。誰しも平等な中、長時間労働+家事+育児で精一杯。
まとめと今後の施策
あまりにも長くなりすぎて、健康課題が仕事や育児に与える影響についてまでいかなかったのでそこはまた今度。
健康経営についても、抽象的概念ばかりが先行しているので、ぜひ触れたかったのですが・・・
さておき、こういった健康課題の存在が大きくなっている現在。
では、どうするか。
たとえば、ここから記載するとまた長くなるのでやめますが、テレワークは一助でしょう。
住宅費が高くなっているのにも関わらない賃金が上がらない日本社会において、労働者は通勤時間が長くなることも受忍せざるを得ません。そういったなかで、通勤時間の分、仕事・家事・育児・生活・睡眠時間に充てられるのですから。
(社会的通念や教育の甲斐あって、残念ながら)女性が家事育児をまきとってしまうケースも現行ではありますが、少なくとも毎日出社等と比較すればまし。
もしくはフレックスタイム制・ジョブ型賃金形態の導入により、ライフイベントを迎えた女性が退職という選択肢を回避し、高い労働生産性をもってキャリア形成ができる可能性があります。
そうすれば、長時間労働・家事しなくてもなんとかなるかもしれない。
コロナは働き方・健康の時計の針を進めた。感染対策以外の視点も重要なのですから、今収束したからと言って、戻していいものではないのかもしれません。
別論点として、健康について議論を進めてきた本論からはずれますが、リスキリングとかも遠い話になってしまうでしょう。
21時に帰ってきて、家事やらなんやらをこなして、翌日7時にでる。常にOJTみたいな状態になっていたとしても、同業同社の生き方・生き残り方・ハウツーしか得られないわけですから。
リスキリングとは程遠い。
たまには早く終わって、違う分野の見識を広げる。時間が削られることは、そういった可能性を捨象してしまう。
なので早く帰って生活時間・睡眠時間を確保しよう。早く帰ればうつ病も回避できる。そのために柔軟な働き方についてもう少し考えよう。
この辺が本日の結論です。ここまでお読みいただきありがとうございました!
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