人事なら知っておきたい!今さら聞けない賃金制度
1. はじめに
こんばんは。
Twitter(X)の140字では、伝えたいことが伝えきれず困っている今日この頃です。
本日のテーマは、「賃金制度」です。
賃金、それはあまりにも大きなインセンティブ。給与・年収はどこでもああでもない、こうでもないと言われています。
正規雇用であれば、賃上げ。2010年代は「ベースダウン」さえ議論されていましたが、いまや賃上げの嵐ですね。
非正規雇用であれば103万円の壁など、多くのトピックスがあります。
今回は、そんな給与制度についてわかりやすく説明します。
ジョブ型・メンバーシップ型という言葉の違いがよくわからない方、基本的な仕組みを知りたい方必見です!
2. ジョブ型賃金制度とは?
ジョブ型賃金制度は、従業員の職務内容や成果に基づいて賃金を決定する制度です。
この制度では、職務ごとに賃金が設定され、従業員はその職務に応じた給与を受け取ります。以下に、ジョブ型賃金制度の特徴を詳しく説明します。
職務給(ジョブ型の賃金制度)の概要とその仕組み
職務給は、従業員が担当する職務の内容(ミッション・ジョブ)や責任範囲に応じて賃金を決定する方式です。
職務の難易度や責任の大きさに応じて賃金が設定されるため、同じ職場でも異なる職務に就く従業員は異なる賃金を受け取ることになります。
これにより、専門性や責任の大きさが賃金に反映されやすくなります。
欧米におけるジョブ型賃金制度の導入と背景
ジョブ型賃金制度は、主に欧米諸国で広く採用されています。特にアメリカやイギリスでは、労働市場が流動的であり、従業員が頻繁に転職することが一般的です。
このため、職務に基づく賃金制度が適しているとされています。企業は明確な職務記述書を作成し、それに基づいて従業員を評価し、報酬を決定します。
3. メンバーシップ型賃金制度とは?
メンバーシップ型賃金制度は、従業員の職務内容よりも企業への貢献度や勤続年数に基づいて賃金を決定する制度です。
以下に、メンバーシップ型賃金制度の特徴を詳しく説明します。
職能給(メンバーシップ型の賃金制度)の概要とその仕組み
職能給は、従業員の技能や経験(職務遂行能力)、企業への貢献度に応じて賃金を決定する方式です。従業員が長期間にわたって企業に貢献することで賃金が上昇するため、企業内でのキャリアアップが重視されます。これにより、従業員の長期的な成長と安定した雇用が期待されます。
日本におけるメンバーシップ型賃金制度の歴史と現状
日本では、メンバーシップ型賃金制度が伝統的に採用されています。日本企業は、従業員を新卒から長期的に育成する傾向が強く、勤続年数や企業への忠誠心が重視されます。このため、従業員の職務内容よりも経験や技能に基づいた賃金制度が一般的です。
4. ジョブ型とメンバーシップ型の比較
メリットとデメリット
ジョブ型賃金制度のメリットは、職務の明確な定義とそれに基づく公正な評価が可能な点です。一方、デメリットとしては、職務が変わるたびに賃金が変動するため、従業員の安定感が低下する可能性があります。
また、若年層の失業率が高いのも見逃せません。
「同じスキル・同じ年収」なら、経験があるのは年齢が高い層ですから、年齢が低い(=経験が少ない)人材は採用されない傾向にあります。
メンバーシップ型賃金制度のメリットは、従業員の長期的な成長と安定した雇用が期待できる点です。デメリットとしては、職務内容と賃金が必ずしも一致しないため、優秀な人材の流出が起こりやすい点が挙げられます。
実際にJTCでは、優秀な人ほどすぐ辞める現象がよく起こっていますね。
組織に与える影響と労働者のモチベーション
ジョブ型賃金制度は、専門性の高い職務に就く従業員のモチベーションを高める効果があります。一方、メンバーシップ型賃金制度は、従業員の一体感や企業への忠誠心を高める効果があります。
こういう効果はあるのですが、高度経済成長期・バブル崩壊以降、日本は終身雇用が提供できなくなったので、段々とジョブ型に移行する企業が増えています。
5. グローバル化と賃金制度の変化
国際的な労働市場の影響
グローバル化が進む中で、各国の賃金制度にも変化が見られます。多国籍企業は、国際的な労働市場に対応するため、賃金制度の見直しを行っています。
日本でも、メンバーシップ型からジョブ型といわれるようになり久しいです。
終身雇用を前提とせず実力と成果で、年齢性別関係なく評価を行うといった、日本的ジョブ型と呼びたくなるような制度ができつつあります。
多国籍企業における賃金制度の導入例
多国籍企業は、各国の労働市場や文化に合わせて、柔軟な賃金制度を導入しています。例えば、日本企業がアメリカで事業を展開する際には、ジョブ型賃金制度を採用するケースが多いです。
6. まとめ
適切な賃金制度の選択は、企業の経営に大きな影響を与えます。ジョブ型とメンバーシップ型、それぞれのメリットとデメリットを理解し、企業の状況に合わせた賃金制度を導入することが重要です。
企業のあり方、カルチャーを考慮に入れた、評価・賃金制度の設計が人事には求められています。
今今すぐジョブ型に変えれば何もかも解決するというわけでもなく、メンバーシップ型の良さを今一度認識し、日本の雇用慣行に合わせた変化が求められています。
未来の賃金制度は、グローバル化や労働市場の変化に伴い、さらに多様化していくことでしょう。