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第13話 研修の変遷


人材育成について、ちょっと立ち止まって考えています。

今回はいつもと趣向を変えて
過去40年間、研修がどのように変化していったかを
シンプルにご紹介します。

【1980年代】
私がコンサルティング会社に入社したのは1983年です。
1980年代は「階層別研修」が中心でした。
大企業の昇格者研修は、さながら同期会のようでした。
製造業では小集団活動もさかんで「仕事の改善」に関する教育も広く行われていました。
研修の中で行う実習は
「皆で協力して問題の解決を考え、意見をまとめる。」
という形が多かったように思います。

例えばグループを作り、グループごと課題に取り組み、
議論した結果を模造紙に手書きで書いて発表する形です。

意見出しやまとめ方の得意な人が自ずとメンバーを引っ張りながら
協力して作品化するのです。
皆の合意形成が大事にされていたと思います。

【1990年代】
「バブルの崩壊」をきっかけに
企業は「成果主義」になり、
「できる人、結果を出す人を重視し、処遇格差をつける人事」
を強力に推進しました。
自己責任と言われ、個人主義の風潮も強まり、
各人が自分で自分の能力を高めることが求められました。

研修も階層別の一律ではなく、
学びたい人が学びたいことを受講できる「選択式」が増えました。

研修の実習も
「個人でアウトプットを出す」方式が増えました。
課題に一人で取り組み、まとめ、発表する形です。
その方が各人の実力の違いが見やすいからです。

問題解決ではなく、問題の発見が重要
という論調もありました。
上から言われた課題を解決するのではなく
自分で問題を発見していく自律性が求められるようになりました。

研修での学習を現場でしっかり役立てる、という
実践型の教育もさかんになりました。
能力は持っているだけではダメで
発揮する=成果につなげる
ことが重視されたからです。

【2000年代】
2000年以降も色々と変化しましたが、
本格的なグローバル競争時代となり、
戦略の重要性が高まりました。
その影響もあり、
経営・事業を牽引する「リーダー研修」や
次世代リーダーを発掘・育成する「選抜研修」も増えていきました。

加えて、
会社や仕事に対する考え方、生き方等、
価値観の多様化が進んだことから
コミュニケーション系の教育がさかんになりました。

・上司がただ指示するだけでは部下が納得しない。
・厳しく指導するだけでは育たない。
・協力しよう、と投げかけても「なぜ?」と疑問視される。
等の意識ギャップを埋める必要が出てきたのです。

この頃から、相互理解や相互刺激
いわゆる「気づき」が大事になってきたと思います。
研修は「啓発型」が増えていきました。

【2010年代】
2010年以降は、
少子・高齢化がますます進み、
人員確保が難しくなり、
働きやすい環境の整備と定年後も働くなど
人生100年時代を見据えた
自分のキャリアを考える研修が大事になってきました。

また、「チーム」を強くするための
組織開発型に変化していきました。

【2020年以降】
そしてこれからの研修は
デジタル化が急速に進み、
いつでも、どこでも、一人でも、仲間と一緒でも
柔軟に学習できる
ようになりつつあります。

以上、超かけ足で研修を振り返ってみました。

研修も時代の影響を受けています。

自身が生きてきた、生きている時代を理解することが
今後どう学んでいくかを考える上で大事だと思います。

皆さんはどんな時代を生き、どんな研修をこれまで受けてきたでしょうか。

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