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【鬼滅の刃から学ぶホワイト組織改善】無惨に100年で勝利できる3つの改善プランを令和の今から大正時代の産屋敷様へ偉そうに伝授※ネタバレ注意※

そもそも鬼に襲われて殺されてる状況下なのにホワイト企業化とかいらないと言われてしまうと話が終わってしまうのですが(笑)現代のホワイト企業の考え方から鬼殺隊のホワイト組織度を分析し、より効率よく成果をあげるための強い組織作りの改善点として、3つのアクションプランをあげて解説していきます。
鬼殺隊のように短期成果を求められる過酷な環境でも、ホワイト企業になったほうが売上(鬼の討伐)も利益(被害の縮小)も満足度(隊士の士気)も上がるからやりましょう、という話です。

今回もホワイト財団の五味田さんと一緒に組織分析していきます。
わかりやすく鬼組織=「鬼舞辻商店」、無惨様&産屋敷様=「社長」と見立ててお話しします。

※以下、原作最終巻までのネタバレを含みます※

▼動画で見たい方はこちらから

ホワイト企業・ホワイト基準とは

五味田:ブラック企業、ホワイト企業っていう文脈だとメインに出てくるのは労働時間であるとか休日手当とか残業代が出る出ないだと思うんですね。
じゃあ逆に労働時間が短くて、休日が多くて、残業代が出るって企業がいい会社かというと、そうじゃない。というところからぼくらははじまってまして、じゃあいい会社ってなんなんだっていうことなんですけれど。
この7つの項目のバランスがとれている会社がいい会社じゃないかというところでホワイト企業と定義しています。

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【ホワイト企業の7項目】
1.ビジネスモデル/生産性

自社で行うビジネスが、高い安全性・安定性を有し長期永続が可能である。
また、生産性向上の施策を積極的に行いビジネスをさらに推進させている。
2.ダイバーシティ&インクルージョン
全ての従業員がそれぞれの特色/個性/経験等を活かし、活躍できる会社を目指して多様な人材の活躍支援をおこなっている。
3.ワーク・ライフバランス
全ての従業員のワーク・ライフバランスの実現に向けて就業場所や時間、ライフステージにとらわれないような柔軟な勤務形態を導入することで、キャリア実現を支援している。
4.健康経営
従業員の健康を重要な経営資源として捉えて、個人の健康増進を企業の業績向上に繋げるための施策を取り入れている。
5.人材育成/働きがい
働く従業員と企業の関係を対等ととらえ、お互いが同じ方向に向かって成長するための取り組みを行い組織力を強化している。
6.リスクマネジメント
経営を行っていく上で障壁となるリスク及び、リスクが及ぼす影響について事前に対策し、危機発生の回避をするとともに、危機発生時の損失を極小化するための取り組みを行っている。
7.労働法遵守
従業員が安心して安全に働くことができ企業活動を円滑に行うために、労働に関する法律の内容を正しく理解し遵守している。


鬼殺隊のホワイト企業度を診断!

ではさっそく、7つのホワイト基準を元にお館様率いる鬼殺隊がホワイト企業かどうか、診断していきましょう。

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江本:ワークライフバランスは鬼を滅ぼすという使命があるのでどうしようもない部分もありますので割愛しましょう。次にダイバーシティ。これは◎じゃないかと。多様な人材を採用して、活躍の場所を準備していますよね。

五味田:これは間違いないです。素晴らしいです。

江本:本当に多様な人が活躍してますもんね。

炭治郎:鬼を滅する隊士なのに鬼(ねずこ)を連れている。
善逸:呼吸の型を1つしか使えないがその1つがめちゃくちゃ強い。
伊之助:育手の育成を受けずに我流で最終選抜をクリアしたアウトロー。
カナヲ:炭治郎達同期の中で唯一の女性かつ継子。
玄弥:呼吸を使えないが別の手段で活躍。
しのぶ:鬼を切ることができないが毒を研究し貢献。
アオイ:戦場には出られないがバックサポーターとして活躍。

江本:次にリスクマネジメント、長年鬼殺隊の本部である産屋敷さんの屋敷が見つかっていないというポテンシャルがあります。鬼と人間には圧倒的な力の差がありながら鬼殺隊が1000年滅びていないことからもリスクマネジメントがしっかりしているということがうかがえます。

五味田:これはすごいですね。

江本:生産性は△。最終的に勝ちはしたものの、もう少し改善の余地があったと思われる。

【改善案】
①国の援助
②毒の開発促進
③重火器の活用
最後のまとめで詳しく解説します。

江本:5番目の健康経営は◎です。万能な呼吸法をベースに隊員の健康管理に気を配り更なる成長を促している。また怪我をした際のリカバリー体制も素晴らしい。

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五味田:伊之助さんも胸さされても復活してましたし。

江本:最後に人材育成。ここは前回の話なんですが、やっぱり△ですね。評価制度はあるものの、そこに至るための研修はフォローに課題があり、結果として柱頼りの組織になってしまっている。解決策として①柱への継子の配置、②育手の有効活用、③計画的な育成、実践への機会提供が考えられる。

総合的にみると、ホワイト企業かといわれると課題がいくつか残る結果になりました。生産性人材育成の課題を解消するとよりいい組織になりそうです。まあどこかの鬼舞辻無惨商店と比べれば圧倒的にホワイトですがね!


鬼殺隊が100年で無惨を倒すためのアクションプラン

ではそんな生産性と人材育成に課題を抱えた鬼殺隊は一体どうしたらよかったのか?というアクションプランをご提案していきます。しかしその前に、考慮すべき事実があります。それは、お館様=産屋敷一族の事情についてです。

・産屋敷一族は30歳まで生きられない
・鬼殺隊は国に公式に認められた組織ではない(鬼を出した一族だからか?)
⇒故に産屋敷一族および鬼殺隊は、短期で成果をあげる思考にならざるを得なかったのでは?

これは現代の経営者とは異なる事情として、考慮しておくべきではないでしょうか。ではこのことを念頭に置いたうえで、鬼殺隊改善アクションプラン、いってみましょう!

改善点1:大量採用大量退職を前提にしない

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江本:「多産多死(大量採用大量退職)が前提で一定のできる人だけで仕事を進めていくことを前提にしない」ようにすればよかったのではないか。

五味田:最終選別という制度が、あまりよろしくないかなと思ってまして。最終選別で生き残れない子も育成する。もっと言えば「最終選別に来れないくらいの子はもう採用しない」(育手の時点で止める)というくらいの気持ちがあったほうが、もしかすると上手くいったのかもしれませんね。

最終選別制度の改善についてはこちらのエントリーでも触れています。


改善点2:積極的に部下を育成する土壌、計画、制度

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江本:積極的に部下を育成する土壌、計画、制度がない。類稀なセンスを持つ人の入社を待つ人材育成スタイルになってしまっていたので、もっと計画的な人材育成が必要だったのではないか。

五味田:計画的に人材育成することができたら、もっと展開は有利に進んだかなと思います。犠牲者もたぶん少なかったのかな、と。これも結果論で言ってしまっていますが…

江本:現代でも「仕事のできるやつが入ってこないんだよねー」という会社がいまだに基本ですよね。

五味田:そうですね。特に離職率が高くて3年から5年くらいで辞めてしまうという会社。自分が働いている時のことを考えてもらったらわかると思うんですけど、普通に働いていたら途中で学ぶことなくなるんですよね。だから転職して新しいこと学ぼうっていうことで辞められてしまう。
やっぱりその組織の中でキャリアが積めるとか、新しい経験が積めるっていうことが、計画的に無いといけない。
鬼滅の世界なら、「まだまだ現役で柱できるけど育手になる」とか、そんなんでもいい。もう少し中長期的に考えての組織構成があってもよかったのかなと思います。

改善点3:もっと組織的に薬・毒・重火器活用(研究開発・ブランド形成)に力を割く

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江本:これが僕は最後一番大事だと思うんです。「剣士(営業・販売)を極めることに長く時間を割いていたがもっと組織的に薬・毒・重火器活用(研究開発・ブランド形成)に力を割く」のがよかったのではないか。まあ、これ言っちゃうと元も子もないんですけど笑

五味田:そうですね、ホワイト企業認定基準の中に「ビジネスモデル・生産性」があります。やはり苦労なく収益を出すことができる会社というのは余力がありますから、人材投資ができるという点において7つのうちの1つになっています。

1.ビジネスモデル/生産性
自社で行うビジネスが、高い安全性・安定性を有し長期永続が可能である。
また、生産性向上の施策を積極的に行いビジネスをさらに推進させている。

五味田:そういう意味においたら、最終なんじゃかんじゃ言って無惨を倒せたのは、珠世さんと胡蝶さんの力が強いと思うんですよ。

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五味田:人間になる薬と老いが進む薬と複合的に入れることができた。あれを例えば上弦の鬼の時に使えてたら、全然展開は違ってたのかなと思いますし。

江本:炎の呼吸とか…要ったんか?ていう笑

五味田:いるでしょ!それは要ると思うんですけど、より強くなるためにっていうことです。

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五味田:たぶんですが、端的な「強さ」っていうことを組織として求めすぎているがゆえに、みんながスゴイとか尊敬してるっていう描写がでてるのは、悲鳴嶼さんとか煉獄さんていうことが多いですね。胡蝶さん毒作れてスゲェとはならないわけじゃないですか。あれ組織風土やと思うんですよね。だから、胡蝶さんスゲェってなったら、「あ、俺も毒作ってみよかな」みたいな感じになっててもよかったかなと。

江本:実際鉄砲撃ってましたもんね。で、効いてますもんね、上弦の鬼に。

五味田:大正時代ですし、無限列車が走ってるぐらいだからまあまあの重火器がたぶん作れたはず…笑
手段にこだわりすぎず、もっと楽に儲けるというかね、収益が出ることができないか、と考えていただくこともいい会社にしようと思ったらすごく重要なことなんです。今の仕組み、今の商品、今のサービス、今のやり方で「とにかく頑張ればいいんだー!!」っていう話は限界があるので、もう少し毒や重火器といった研究にも精神を割いていただいてもよかった部分もあるのかな、と思います。

――まあ実際は、鬼殺隊が胡蝶しのぶさんを重用してもっと早い段階から薬・毒・重火器の活用に重きを置いていたら、
上弦の鬼出た!⇒毒盛った!⇒終了!
という2巻くらいで終わりそうな全く面白くもなんともない話でしょうし、ジャンプ漫画としてはこれで正解です。
(※我々はあくまで鬼滅ファンです!)


人事・経営はこの物語から学び自社を改善、ビジネスに活用しよう!

ということでこれまで4回に渡り『鬼滅の刃』から学ぶ組織経営を論じてきたわけですが、まとめると・・・

【鬼滅の刃組織経営のポイント】
①中長期的組織力の強化
②公的な支援を受けられる場合は受ける
③人材育成体制の強化
短期成果を求められていたとしても、ホワイト化することでさらに展開を有利に進められた可能性あり。

五味田:僕らが『鬼滅の刃』から学ぶことは、勇気づけられたり面白かったりていうこともあると思うんですけど、そこから何を学んで、どう現実に活かすかってことが大事かなっていうところもあると思います。
組織経営という視点でお送りしたこのシリーズ、やっぱり「中長期的な組織力の強化」が必要という結論です。短期的な実力が高い人ばっかりの組織って弱いので。その人が辞めてしまうとよくないですから。

江本:鬼滅だと、鬼にやられて死ぬもしくはリタイアという短期退職みたいなことが、現代の会社だとできる人が5年以内にどんどん辞めていくというのと似たような話ですよね。

五味田:2つ目は、公的な支援…例えば補助金とか助成金を受けられる場合は受ける。鬼殺隊は存在が非公式だったので仕方ないのですが、国の支援を受けられたほうがよかったと思いますし、警察と連携したほうがきっといいでしょうね。独りよがりにならず色んな人の助けを受けるっていうことは要るかなと。
やっぱりいい会社というのは短期の成果だけじゃなくて、中長期的にどうすればいいかということを考えて、その結果いま利益が出てるという会社さんも多い。それを我々はホワイト企業と呼んでいるんですけれど、是非そういった観点で皆さんが自社の経営どうするかとか人事周りをどうするかっていうのことのヒントを鬼滅の刃から得ていただければと思います。そういう視点で観てみようかなと思っていただけると企画した甲斐がありますね笑

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今回の企画にあたり、マンガも改めて3回くらい全部読みなおし、組織論としてまとめるためにいろんなものを読みましたが、読めば読むほど珠世さんと胡蝶しのぶさんの活躍凄まじいというところに行きつきます。花形、王道的に活躍している人だけが強いのではなく、中長期的な戦略作りや人材育成が重要になってくるのですね。

HRチャンネルでは、人事、経営、いろんな方のお役に立つ情報をヒューマンリソースの側面から分析して、お伝えしていく動画・エントリーもアップしていただきますのでまたよろしくお願いいたします!

【『鬼滅の刃』勝手に分析シリーズスピーカー】
◆江本亮
株式会社学生援護会(神奈川)出身。
2005年より求人メディアがASPにて安価で早く提供できるシステム「ジョブメーカー 」にて自社サイト・オウンドメディアによる採用成功を支援、構築実績はこれまで200社以上に及ぶ。「反響があがる求人広告・求人メディア」をテーマに、「indeed対応の自社求人サイト構築システム」の開発などを手がけている。

◆五味田匡功
ソビア社労士法人 創業者兼顧問
クリエイトマネジメント協会 代表取締役
2007年に会計事務所在籍中に社会保険労務士、中小企業診断士に同年度合格。その後、会計事務所内での社内ベンチャーとして社労士事務所を立ち上げ、独立。Wライセンスを活かした人事・労務の設計だけでなく、多数の企業のサポート経験を活かしたビジネスモデルの改善サポートも実施している。また、補助金・助成金申請の仕組化にも注力し、企業支援実績は3,000社を超える。2020年3月に自身が立ち上げた社労士事務所を事業承継すると同時にクリエイトマネジメント協会を承継し、温故知新の精神で既存事業を継続的に実施しつつ、新規事業においても働く人の心の健康を取り戻すべく躍進中。

◆日本次世代企業普及機構(ホワイト財団)について
https://jws-japan.or.jp/
“次世代に残すべき素晴らしい企業”を発見し、ホワイト企業認定によって取り組みを評価・表彰する組織。中堅中小企業がより良い会社を目指すための概念・指標をまとめ、21世紀のモデルケースとなるような素晴らしい会社を称賛し、公表していくことで経営者、従業員にとっての道しるべ「ホワイト企業指標」を生み出すこと、および改善すべきポイントに適切な経営アドバイス、研修、講習を提供していくことを活動目的としています。


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