
引き出し(スキル)を増やす経験 【行動のヒント】
今回のヒント
経験学習サイクルで常に学ぶ
私たちは日々多くの経験をすることで、引き出し(スキル)を増やします。しかし、経験を重ねても「本当に自分の引き出しになってるのだろうか?」と不安に思うことは少なくないと思います。人が経験からどのように学びを得るのか、を少し理解するだけで、自信を持って引き出しを増やすことができます。
経験学習サイクルとは?
経験学習サイクルは、デイビッド・A・コルブが提唱した経験学習理論の中心的なモデルです。このモデルでは、学習を次の4つの段階に分けて考えます(以下の説明は私なりの解釈を含めています)。
具体的な経験
実際の体験や出来事から、新しい経験を得る段階。
内省的観察
経験を内省(ふり返り)し、理解を深める段階。
抽象的概念化
内省からエッセンスを抽出し、汎用的な知識やスキルに変える段階。
能動的実験
抽出したエッセンスから新たに実験をし、次の経験に繋げる段階。

このサイクルを回すことで、人は学習し、スキルを引き出しとして蓄えていくことができます。
スキルを引き出しにできない例
たくさん経験をしているのに引き出しが増えないと感じる場合、経験学習サイクルがうまく回っていないことが考えられます。特に以下のようなパターンが多いように感じます。
経験に集中しすぎる(「忙しい!とにかく目の前のことを片づけよう!」)
ふり返りで止まってしまう(「良い知見を得たはずだけど…何だったっけ?」)
このようなパターンでも、時間をかけて何度も経験を重ねれば引き出しは増えますが、効率はあまり良くありません。
「抽象的概念化」こそが引き出しをつくる
経験学習サイクルで、引き出しを増やすうえで特に大切なのが「抽象的概念化」です。私たちの周囲の環境は日々変化しており、もし同じように見える経験だとしても状況、条件、関わる人が異なることがほとんどだからです。このような違いに対応するには、具体的な経験そのものではなく、そこから抽出したエッセンスこそが柔軟性や適応力をもたらします。「抽象的概念化」こそがスキルとしての引き出しとなります。
さいごに
学習と言うと、本を読んだり勉強会に参加したりといった活動を思い浮かべるかもしれませんが、経験学習サイクルを意識するだけで、日常的な行動がすべて引き出しづくりにつながります。
「抽象的概念化」は学びの鍵であるものの、難しく、クリエイティブなプロセスで、個々人のセンスの発揮しどころとなります。それゆえ、人によっては「持論化」と言う人もいます。得たエッセンスを自分のなかで整理し、独自の理論として言語化することで、あなただけのスキルとして引き出しに加わります。
このnoteについて
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