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5分でわかる子宮頸がん⑥妊娠・出産と子宮頸がん

 子宮頸がんは子宮の頸部にできるがんであるため、妊娠・出産と密接な関係にあります。今回は子宮頸がんまたはその治療が妊娠や出産に与える影響についてまとめていきます。

上皮内がんの場合

 異形成から進行した上皮内がん(がんになる前の状態)である場合、妊娠を継続し、出産後に子宮頸部円錐切除術を受けることが可能です。しかし、分娩までに至る期間は注意深く経過観察を行なっていく必要があります。また、円錐切除によって子宮頸部が短くなり、早産のリスクが高まる可能性もあります。

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円錐切除術の範囲 出典:国立がん研究センターがん情報サービス

微小浸潤がんの場合

 上皮内がんから進行し微小浸潤がんである場合には、妊娠中であっても子宮頸部円錐切除術が必須です。手術の結果、子宮の温存が可能となった場合、経過を見ながら妊娠を継続することができます。

浸潤がんの場合

 さらにがんが進行し、浸潤がんの状態であるときは子宮摘出が必要です。胎児が体外生活可能な妊娠週数まで達していれば、帝王切開を行い、子宮摘出に移ります。その時点で胎児が体外生活不可能である場合、体外生活が可能な週数に至るまで慎重に経過観察をし、帝王切開に続き子宮摘出を実行できる可能性もあります。しかし、妊娠週数が極端に低いときや、経過観察中に病状が悪化したときは、それ以上の妊娠の継続を諦め、子宮の摘出が必要です。

まとめ

 このように、子宮頸がんになったとしても妊娠・出産ができる可能性はあります。しかし、がんの進行度合いによっては分娩が困難になります。 また、がんがあまり進行していない状態であっても手術が必要となれば、早産のリスク増加など、術後の妊娠・出産には影響を及ぼします。よって、安全な妊娠や出産のためには子宮頸がんの早期的な発見が重要となってきます。

 子宮頸がんと出産をはじめとするライフイベントは密接です。がん検診を軽視せず、2年に1度受診しましょう。


参考文献

九州大学病院がんセンター(n.d.)「子宮がん Q&A」https://www.gan.med.kyushu-u.ac.jp/result/uterine_cancer/index8

公益社団法人日本産婦人科学会(2018)「子宮頸がん」http://www.jsog.or.jp/modules/diseases/index.php?content_id=10

国立研究開発法人国立がん研究センター対策情報センター(2020)「子宮頸がん 治療」https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/treatment.html

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【この記事を書いたのは】インターン生 山口賢聖                普段はHatch Healthcare株式会社で、noteの記事作成やPR活動を担当。

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