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5分でわかる子宮頸がん⑦子宮頸がんの手術と手術後の合併症

 子宮頸がんの治療として、手術(外科治療)、放射線治療、薬物療法があります。今回は、前がん病変の高度異形成や上皮内がんと、Ⅰ〜Ⅱ期の子宮頸がん(がんが子宮にのみ認められ、子宮以外に病変を認めない状態/がんが膣または子宮周囲組織に広がるが、進展が高度でない状態)に対して有効な治療法である手術と、手術後の合併症ついて説明します。

手術①円錐切除術

 この手術は、下図のように子宮頸部の一部を円錐状に切除します。高度異形成に対しては、病巣(病原のある箇所)を完全に取り除く治療として行われます。また、画像の検査ではわからないような早期のがんの場合は、顕微鏡でがんの広がりを正確に調べる手段としてこの手術が用いられます。

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円錐切除術の範囲 出典:国立がん研究センターがん情報サービス

手術②単純子宮全摘出術

 この手術では、子宮頸部の周囲の組織は取らず、子宮だけ切り取ります。方法として、お腹を切り開き切除する開腹手術、お腹を切らずに膣から切除を行う膣式手術、内視鏡の1つである腹腔鏡を用いて行う腹腔鏡下手術があります。

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単純子宮全摘出術の範囲 出典:国立がん研究センターがん情報サービス

手術③準広汎子宮全摘出術

 この手術においては、がんの取り残しをなくすために、上記の単純子宮全摘出術の範囲より少し広めに子宮を切り取ります。具体的には子宮と共に、上図にある基靭帯の一部と、膣を2cm程度切除します。

手術④広汎子宮全摘出術

 この手術ではがんを完全に取り除くために、準広汎子宮全摘出術より、更に子宮を広く切り取ります。具体的に子宮と、基靭帯や膣を3~4cm程度切除します。加えて、骨盤内のリンパ節も切り取ります。

手術⑤広汎子宮頸部摘出術

 この手術は卵巣と子宮体部は切除せず、それ以外の箇所を広汎子宮全摘出術と同様に切り取る方法です。妊娠するための力を保つ治療となります。広汎子宮全摘出術が必要ながんの進行時期において、がんの大きさが一定基準を満たしており、妊娠が可能な年齢で子供が欲しい場合に行う手術です。

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広汎子宮頸部摘出術の範囲 出典:国立がん研究センターがん情報サービス

 以上が子宮頸がんの治療法である、手術になります。そして、手術後に一定の割合で合併症が起きることがあります。ここでは2つの合併症を紹介します。

合併症①排尿トラブル

 排尿に関する神経は基靭帯の中を走っています。よって、基靭帯を広く切り取る広汎子宮全摘出術を行ったときは、排尿障害が起きこりやすくなります。症状として、尿が溜まった感じがわかりにくい、尿を出しにくい、尿が漏れるなどがあります。多くの場合、手術後数週間から数ヶ月である程度改善します。しかし、手術前と同様な状態にまで回復することは難しいです。

合併症②卵巣欠落症状

 閉経前に両側の卵巣を切り取った場合、女性ホルモンが減少し、更年期障害と同じ症状を発症する可能性があります。この症状が卵巣欠落症状です。例として、発汗、食欲低下、イライラ、頭痛、肩こり、動悸、不眠などの症状があります。症状の強弱や発症期間には個人差がありますが、年齢が若いと症状が強くなる傾向があります。

 子宮頸がんが進行すれば、生死や出産に関するリスクが生じるだけでなく、手術に伴った術後の生活への支障が生じる場合もあります。しかし、2年に1回のがん検診を行っていれば、それらのリスクを回避できる可能性も十分にあります。健やかな人生のために、がん検診を怠らず、生活を送りましょう。


参考文献

国立研究開発法人国立がん研究センター対策情報センター(2020)「子宮頸がん 治療」https://ganjoho.jp/public/cancer/cervix_uteri/treatment.html 

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【この記事を書いたのは】インターン生 山口賢聖                普段はHatch Healthcare株式会社で、noteの記事作成やPR活動を担当

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