
誰得ドット絵童話『木箱』
今日はドット絵で、木箱を描いてみました。曲線がないので簡単に描けて、ドット絵初心者にもやさしい! 超オススメです。
この木箱、もはやRPGの主役なんじゃないか、いやFPSなどのアクションゲームでも良くあるし「ゲームの主役」と呼んでも過言ではないのではないか、ところでXboxがいまいちパッとしないのはこの木箱のデザインにしないからだ! と物議をかもしたり……はしませんが、愛着を感じている人は少なくないのではないでしょうか。

ゲームを作る人にとっては、これと宝箱を早いうちに用意しておけば、ちょっと遊んでみる程度のものがすぐに作れるキーアイテムでもあります。また、この木箱の横におっちゃんを立たせるだけで「商人」に見えてくるマジックアイテムとも言えるでしょう。

おっちゃんというより、じーちゃんでしたね。
きっと生活苦で、雪のクリスマスの夜に街へXboxを売りに来たんです。ばーちゃんに「全部売るまで帰ってくるんじゃないよ!」とか言われて。
でも、じーちゃんのXboxはまったく売れません。道行く子どもたちは皆、Nintedno Switchを手にしています。
「Xboxはいらんかね~」
「きっとおもしろいゲームがあるよ~」
「知らないけど、きっとあるよ~」
いくら声をかけても、子どもたちは見向きもしません。「ぼくは将来ゲームクリエイターになるんだ!」と夢を語る少年すらもです。
人通りはだんだん少なくなり、ただ、時間だけが過ぎていきます。
やがて寒さに凍えたじーちゃんは、暖をとるために仕方なく木製のXboxに、持っていたマッチで火をつけます。
赤々と、よく燃えるXbox。じーちゃんは、ようやくホッとひと息つくことができました。
「Xboxを木製にしたのは正解じゃ、わしゃ感謝しかない」
しかし徐々に雪は強くなり、もう通りには誰の姿もありません。
そこにいるのは、じーちゃんだけ。みんなは家に帰ってキャッキャウフフとホワイトクリスマスを楽しんでいます。
雪のなか、じーちゃんはXboxが燃え尽きるたびにまた新しいXboxに火を付け、暖を取りながら夜が明けるのを待ちます。
しかし、あんなにたくさん売れ残っていたXboxの在庫が尽きてしまいました。もう、燃やすXboxはありません。
ついに力尽きたじーちゃんは動かなくなり、深い眠りへと落ちていきました。やさしかったころのばーちゃんの夢を見ながら……。
(おしまい)