ドット絵メイキング『かき氷』(前編)
なんだか超暑いですけど、みなさん生きていますかー!?
今回はその"超暑さ"に負けないために、昨年9月27日の記事タイトルにしたドット絵『かき氷』のメイキングをおとどけします。前編はまず『ガラスの器』を、後編では『氷の山』をつくっていきますよ。
「前後編にわけるほどのものか~?」とお思いの方もいるかもしれませんが、このシリーズで透明の物体を扱うのは初めてですからね。器だけでも、意外といろいろあるのです。
器の基本構造を決める
まず前提として、今回描くガラスの器は、背景色が赤でも青でも緑でも使えるようにしたいというイラスト的な事情があります。背景が何色かにあわせてカラーバリエーションを用意するというわけにはいきませんからね。
「透ける部分は半透明にする」といった方法もナシではないのですが、それはそれで返って難しいこともあるのです。
ところが、参考資料をGoogle画像検索で探しても、ちょうどいいのがない!
というわけで今回は、多面型(多角形)のボールを参考にして、そこに"足"を付けることで独自の器として描くことにしました。
丸い器では透過して奥が見えるべき面積が広くなってしまうのですが、多面型(多角形)であれば面が小さくわかれるため、ところどころにハイライトを入れるなど、ごまかしが効くのです。
さてさて、方針は決めたことですし作業を始めます!
作業開始
今回、ガラスの器は24x24ドットで描くことにしました。これは、あとで氷の山を盛ったときに32x32ドットに納まるようにするためです。
手順①では、まず器の全体像をざっくり決めます。
この時点では丸い器のように見えてしまいますが、あくまで多面型の器なので、器の上辺部分の線は"丸"を描くときよりも水平線と垂直線を長めにしてあります。
手順②ではそれぞれの面の境界あたりに線を引きながら、面の大きさやバランスを確認します。
手順③では、線で区切ったそれぞれの面を塗りつぶしていきます。画面手前向きに近い面だけを明るくして、横向きに近い面は光が遮られるので暗めに。なお器の内側も暗くしていますが、これは暫定的なものです。
ガラス面を描き込む
ひとまず「だいたいこんなもんかな」という感じに落ち着きましたので、ここからさらに描き込んでいきます。
ここで一度明るいガラス面をメインカラー「彩度の低い薄水色」として塗り潰したうえで、手前向きの面の端にハイライトの白を入れ直します。
また、多面型といっても実際には各面には少し丸みがあって、面と面の間には谷間がありますので、そこに一段暗い色を入れます。これで、全体がカボチャのようにモコモコしている感じと各面の丸みを出しました。
内側を整える
次に、器の内側を整えていきます。手順③の時点では暫定的に暗めに塗ってありましたが、実際には「ガラスを裏から見たら暗い」なんてことはありません。手前向きの部分は明るいガラス面として薄水色に塗り直します。
さらに、そのうえで底部分を暗くします。器の底は足の付け根になっているので光を通しにくいぶん暗くなります。また、垂直面(明るい)と水平面(底、暗い)の間は中間色にすることで、器の内側が曲面になっていることを表現します。
なお、この器の内側はこれ以上情報量を多くしたくないので「多面」であることは表現していません。実際この手のガラスの器は、外側はモコモコしているけど内側はそうではなくツルっとしているですよね。
透明な物体を描くときのややこしいところですが、本来なら"見えている"外側のモコモコ感を描くべきです。とはいえ、それで内側がモコモコしているかのように誤解させてしまうと、「うるさい」感じになるので今回は見て見ぬふりをすることにしました。いいんですよ、まさに透明なんですから。
色を調整して完成!
あとは、全体の色を少しさわやかな色に置き換えれば完成です!
どうせここに氷を盛ってしまうのですから内側を描く必要はなかったのですが、かき氷に限らず、プリン・ア・ラ・モードやパフェを描くのにも使えそうですね。器を細身にすれば、飲み物もいけます。
おっと、最後に念のため背景色を変えてテストしてみましょう。
厳しい目で見るなら、やはり向こう側が透けて見えていてほしいところです。とはいえ不透明な金属に見えるほどでもないと思うのですが、いかがでしょうか?
次回は、ここに氷を山盛りにしていきます。すでに描いたもののメイキングですが、資料として実物が必要な気がしてきました! 暑い!
(つづく)