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ドット絵 死ぬほど物語(?)前編
みなさんは今、処刑したいほど憎い人がいますか?
会社の上司や学校の先生、通勤通学中の痴漢、いじめ加害者、近所の陰険おじさん&おばさん、違法駐車のドライバー、嘘つき政治家、裏金議員、自らが規約を守らないくせに住民にはうるさい団地理事会などなど……誰しも、「どうにかしたいけど、そうもいかない」相手がひとりやふたり、いるものですよね。
本当はこの手で首を絞めてやりたい。完全犯罪が可能なら思い切り喉元を切り裂いてやりたい。遺体は粉砕して猫砂にし、最後はトイレに流してやるのが相応しい……
などと思うことはあったとしても、なかなか実行はできません。「罪を背負ってまで、やっちまうほどの価値があるのか?」と考えてしまったり。心理的ハードルが立ち塞がるのです。
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心のなかにギヨタンを持とう
まあタイトル画像でネタバレしていますから、このままボケ倒すには無理がありますね! 今回描くドット絵は、みんな大好き「ギヨタン」です。
え? 「ギヨタン」をご存じない?
ギヨタンというのはジョゼフ=イニャス・ギヨタンのこと。医師で政治家、18世紀のフランス人。斬首刑に用いる断頭台を機械的な装置にしようと、"人道的見地"から提案した人物です。
当時の斬首刑には首をうまく落とせないことで囚人に苦痛を与えてしまうことがあったことから、ギヨタンは機械式の装置による「失敗のない斬首システム」の必要性を訴えました。
斬首刑・死刑自体は行なわれるのに"人道的見地"もなにもないと思われるかもしれませんが、ギヨタン自身は死刑にも反対の立場だったそうです。機械式断頭台の提案は、まずは「せめて苦しませずに」ということですね。
こうして当時のフランスで斬首刑に用いられるようになった機械式の断頭台は、提案者の名前をとって"Guillotine"(フランス語読みでギヨタン、英語読みでギロティン)と呼ばれるようになったそうです。
うーん、なるほど!
なんて、なんだか『まんがなるほど物語』(実写+アニメの子ども向け教育番組、1986~1989年にTBS系列で放送)みたいな話になってしまいました。
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『まんがなるほど物語』のマスコットは「ナルタン」でしたから、ギヨタンが登場するこの記事は、さしずめ『ドット絵 死ぬほど物語』といったところでしょうか!?
どんなに憎い相手がいようとも「やっちまう」わけにはいかないので、ひとまず心を落ち着けるためにもドット絵『ギヨタン』を描いて心のなかでズドーン! スポーン♪しようというわけです。
ではさっそく、ドット絵『ギヨタン』ができるまでを見てみましょう! ギヨギヨ♪タンタン♪……(ちょっと恥ずかしい)
メイキング前半・モノクロ下描き
さて、ちょうど似たようなかたちの『ハードル』のドット絵を発掘したことですし、これを活用して『ギヨタン』の下描きを進めていきましょう。
まずは、足を前方にものばして安定性を高めます。ハードルは飛び越えられなかったときに前へ「パタリ」と倒れてくれるようになっていますが、このままではいけません。
特に当時のフランスの斬首刑は「公開処刑」が行なわれていましたから、処刑執行時の衝撃で断頭台が観客側へ倒れるようなことがあれば大惨事になってしまいます。
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というわけで足を前後に伸ばしたら、次は背を高くして全体像のアタリをつけます。勢いをつけて刃を落とさないと、華麗にスポーン♪とできませんからね。
![](https://assets.st-note.com/img/1728471034-k8w1HW4yAZJTFCIibvK5meuU.png)
これくらいの高さがあれば充分でしょうか。今回はキャンバスを縦に2倍にのばして、32x64ドットで描いていくことにしました。
アタリとしてはこれでOKなので、一度モノクロの線画にして「ハードルみ」をなくしましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1728471166-UFXuhxOi7YE3Mo6r2Pc8Tvkq.png)
ここから徐々に断頭台らしさを出していきます。まずは下部に、死刑囚が首を乗せる"台"の部分(これこそが断頭台?)を加えましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1728471291-UYpxG5vPaqokLluwKjHs0ZEC.png)
さらに、上部に"刃"を設置します。
![](https://assets.st-note.com/img/1728471685-Cf08EpzWQjTnK26HlxSJVDu1.png)
だいぶ形になりました。でも、細くて平面的で弱っちい感じですね。
板やら支柱やらの厚みを考慮しながら、全体のボリュームを増していかなければなりません。
![](https://assets.st-note.com/img/1728471875-lbHrwgWQDGU9VtFi3c8qZ6mn.png)
厚みの部分を黒い影として、ボリュームアップしつつ、立体感を高めていきます。
おおっと、足の補強を忘れていました。断頭台の背は高く、刃も40kgもあるかなり重いものなので"逆T字"の足では執行時の衝撃で足首部分が折れかねません。
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はい、足首を補強して斜め板を加えました。
処刑台の形状はこれで良さそうです。あとは、刃を持ち上げるためのロープを加えて……
![](https://assets.st-note.com/img/1728475545-Xqt81G036hwioknpTRLSOjbm.png)
これにて下書きは完成!
普段あまり「黒縁ドット絵」は描かないのですが、ハッキリした白と黒による強いコントラストにはグッと引き込まれるものがあります。今回のテーマ自体が「歴史的」だから、というのもあるかもしれません。
パワハラ上司を告発するモノクロの文書にそのままプリントできるのもいいですね。心のなかでズドーンするだけでなく、告発はガマンせずにやっていきましょう。
モノクロのまま完成とするのも良いのですが、次回後編ではこれを着色していきます。
ただ、この強いコントラストを"殺さない"ように注意しなければいけません。人を殺める道具だからこそ、丁寧に扱う必要があるのです。
(つづく)