ソマティックワーク入門 第16回 フォーカシング 池見陽さん(実践編02)
健康とウェルビーイングの一歩先を求めて−−。
今、こころとからだの健やかさの質を高める、
マインドフルネス瞑想やボディワークなどが人気を呼んでいます。
からだの感覚に注目し、
心身が心地よい状態へとフォーカスすることで、
深い気づきや静けさを得たり、
自己肯定力や自己決定力といった心身の豊かさを育んだりしていく。
これらは、
こころとからだのつながりを目指す
「ソマティックワーク」という新しいフレームワークです。
その手法は、タッチやダンス/ムーブメントなど多岐にわたり、
1人で行うワークから、ペアやグループで行うワークもあり、
自分に向くものはそれぞれ異なります。
この連載では、
これからの時代を生きる私たちにとって、知っておくべき「からだのリベラルアーツ(一般教養)」として、各ワークの賢人たちの半生とともに
「ソマティックワーク」が持つ新しい身体知を紹介し、
それらが個々の人生や健康の質をどう変化させたのかを探っていきます。
リベラルアーツ(一般教養)として学ぶ
ソマティックワーク入門
−新しい身体知の世界をめぐる−
第16回 フォーカシングセッションの実際 池見陽さん(実践編02)
取材・文●半澤絹子
写真協力●池見陽
取材協力●日本ソマティック心理学協会
今回の実践編02では、池見陽さんがセラピスト役としてリスナーを、ライターがクライアント役としてフォーカサーになり、通常のセッションの模様をショートバージョン(15分のセッション)で紹介します。
池見さんいわく、このセッションは「フォーカシングのお手本になるような、きれいな内容だった」とのこと。
要所要所にフォーカシングのポイントを挟みながら、フォーカシングのセッションの雰囲気をお伝えしていきます。
つららが変容したフォーカシングセッション
池見(リスナー、以下略):まず最初に、「自分」というお友達に会った感じで、自分自身に「元気にしてる?」とちょっと挨拶をしてみましょう。声には出さなくていいですよ。
半澤(フォーカサー、以下略):はい(心の中で自分に挨拶をする)。
池見:次に、「今、自分はどんなことが気になってるかなー」とか、そんな風に、自分の内側に聞いてみましょう。
Point:セッションのテーマになるものを探っていく場面。
半澤:はい(自分に向かって「何が気になっているか」を聞く)。
池見:どんなことが浮かんできますか? ひとことだけ言ってください。
半澤:なんか、“黒いもやもや”が身体の左のほうにいる感じ、がします。
池見:うんうんうん。それに気づいて。“黒いもやもや”が、身体の左にいるんですね。じゃあちょっと、そのもやもやの居場所をつくっておきましょう……どんなところにいたらいいかな?
Point:フォーカシングの方法の1つ、「クリアリング・ア・スペース」。いま・ここで何が気になっているのかに気づく。それらの気がかりを距離をおいて眺めてみる。それらのなかからセッションで何を取り上げるかを選ぶ。気がかりに気づいて、それらと距離を置いてみるだけでも気がかりへの執着がなくなり、スッキリする場合がある。
半澤:身体の外側に“黒いもやもや”がいたほうがいいんですか?
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