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断片集

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#列車

ぷち、ぷち、ぷちと花の首がとんでゆく。 足元には、首をもがれた花が落ち、絨毯のように

 ぷち、ぷち、ぷちと花の首がとんでゆく。  足元には、首をもがれた花が落ち、絨毯のようにあふれだしそう。くさいくさいとののしられ、やきつくせよ、花と共に。小さな手をふったのは、赤くひかる川のむこう。  幸男は走った。なにかを振り払うかのように、走って、走って、にげた。もどかしく、いつまでもこびりついて離れない、きもちわるい、とらわれている、得体のしれないものが、皮膚の中までしみこんで、細胞のひとつひとつまで浸透している。かきむしっても、かきむしっても、とれないシミ。はしれば、