雪を含んだ風が、山から冷たく吹き付ける。足元にはうっすらと絹のような雪が積もり始めていた。
雪を含んだ風が、山から強く吹き付け、足元にはうっすらと絹のような雪が積もり始めていた。幸尾の足先は寒風にさらされ冷たさで傷んだ。野良犬が一匹、木の幹に向かって腰を振っていた。
「わかる、僕わかるで」
父親が何を言いたかったのか、幸尾はよくわからなかったが、元気良くそう答えた。
「よしゃ、幸ちゃんはええ子だなあ。さっすがおらの子だあ」
父はすっとんきょんな声を出して言った。ビュッと風が一段と強く吹きつけた。幸尾は父の首元に深く顔をうずめた。首にかけられた父の手ぬぐいが鼻に