【エッセイ】引き返すこと
今日は朝からバタバタしていた。
まず、朝寝坊した。母に起こされて起きた。
だけど、ひとり暮らしになったらそれはない。
良くも悪くも自己責任だ。
寝坊した理由。私はわかってる。
昨夜父と話したからだ。
どうやって人に仕事を渡して消えるか。
大学でサークルに入ってるけど、教職のこともあってカツカツの私。正直キャパオーバー。
もう限界です。前期でもうわかってた。
だけど助けなんて求めない。
求めたところで何が変わる。
そんなことを思ってしまう自分もいる。
っていう話。
夜ってなんかあふれ出るんだよね。
だから話しちゃう。次から次へと弱音が漏れる。
情けないほどに。
ってしてたら寝坊した。
一限は間に合った。案外余裕で。
今日が後期初めての授業だったそれで、同じ学科の友達を見つけた。だけど声はかけなかった。
最初違う道を歩いた私は、もう引き返せないと思ったから。
正直もう私は疲れてたから。
あぁ、帰りたい。
帰りたい帰りたい帰りたい。
そう思いながらも、私は次へゆく。
二限と昼休みの空きがあったので、高校時代からの友達とランチがてら誕生日祝いをした。
本当は昼休み別の予定があったのだけど、昨年祝うことすら出来なかったのでそっちを優先して元の予定を蹴った。
ゆったりしてたのはその時間くらいだっただろうか。だけど時間の経過は早いもので、喋り倒してたせいと、食べるのが遅かったせいで授業は先生と同時に教室に入ることになった。
三限後。暇だった。空きコマだった。
思い立ってひとりカラオケに行こうとバスに乗った。乗るバスを間違えた。
引き返すことはできなくて、全然違うところで降りてめちゃくちゃに歩いた。
歌えたのは30分だけで、時間に追われながら歌ってた。だけど楽しかった。
帰りは走った。
五限、学内バイト。時間ギリギリで駆け込んだ。
なぜ私はこんなにも走らなくちゃ行けないのだろう。厚底の靴で。痺れるように痛い。
バイトが座ってやれるものでよかった。
立ち仕事だったら色々とやばかった。
穏やかすぎる時間はあっという間に過ぎていく。
あぁ、帰りたい。
帰りたい帰りたい帰りたい。
それでも。
まだ終われない。
移動時間五分。
通りを挟んで向こう側。
一番端から一番端の棟へ移動して教職の説明会。
一分でも遅刻したら追い出されるそれ。
友達から心配のLINEを受けながら、私はまた走った。厚底の靴で。
立ち止まってなんかいられない。
引き返すことなんてできない。
走って走って走った。
チャイムと同時に席に座った。
あぁ、息切れしてるのは私だけか。
どうしてこんなに走らなきゃいけないのだろう。
どうして私はこんなに疲れてるのだろう。
あぁ嫌だ。
帰りたい帰りたい帰りたい。
帰ってもまだやることがあるのに。
それでもいいから帰りたい。
なんで私はこんな時間に帰ってるのだろう。
大学に誰もいないような時間に。
教職で一緒の友達と電車に乗った。
その中で互いに言った。
「ここまで来たらもう引き返せない」
もはや意地みたいなものだ。
ここに費やした時間と労力、精神力。
無駄にはしたくない。
やめても何かしらの道があると、そうとも思うけど。引き返せない。怖い。
どうなるか分からないから。
確かな正解なんてない。
それでも確かなものを求めたい。
この道で。