社員に「どんな働き方がしたい?」と聞くことからブランドを作ってみる。
なぜ働く人の内面からブランドをつくるのか?
先日、品川でウォータースタンド株式会社様向けにデザイン思考の分析手法を使ったブランドづくりワークショップをやってきました。
全国の無印良品の店舗で提供されるあの水を提供していたり、ウォーターサーバーの分野では老舗の企業。設立は1969年(!)です。従業員数は600名超え。製品のデザインに定評がありもともとデザインに高い関心を持つ企業文化なのもあり、「次のステップとしてブランドづくりを」と担当者の方にご依頼いただいた流れです。
・てかそもそもブランドってなあに?
そもそもブランドとは何でしょう?ブランドは「iPhone」とか「スターバックスのラテ」といった単なる商品やサービスの記号ではありません。顧客に「他のものではなくてこのブランドを選ぶべき理由」を提供するもの。ブランドはスマホとかコーヒーショップというジャンルを超越するもので、顧客との深い信頼関係を築くための重要な要素となります。
ブランド作りの作業一般をブランディングといいます。ブランディングには内向きの「インナーブランディング」と外向きの「アウターブランディング」があります。
・アウターブランディングとインナーブランディング
アウターブランディングは、顧客や取引先など社外に向けて自社のブランドイメージを構築する活動です。具体的には、広告宣伝やPR、商品開発、パッケージデザインなどが含まれます。みなさんがブランディングと聞いて思い浮かべるのは多分こっちですよね。
一方、インナーブランディングは、従業員に向けて自社のブランドイメージを構築する活動です。例えば社内研修やコミュニケーション、人事制度などが含まれます。
私が近年重要視してるのはインナーブランディングの方です。
デザイナーとして仕事していると、外部やトップからブランドを掲げても社内に浸透せず自然消滅していくケースをたくさん目の当たりにします。通常デザイナーとして期待されている範囲「アウターブランディング」だけでは限界があります。ブランドは社内一人ひとりで働く人の脳内からでないとうまく世界に広がって行かないのです。
そこでデザインの経験から得た「デザイン思考」を活用して働く人の内面を深堀りし、「どんな組織なら働きたいか?」
を具体的に形にしていくワークショップを行うことにしました。
内面からブランドを作るワークショップのメリット
ひとりひとりが「じぶんが関わった感覚」を持ってブランドを作っていくと納得感があります。それは押し付けられたものではなく確かに自分のものです。
働く人たちの中に「自分たちってこういう組織でありたいよね」という共通のイメージが出来上がっていく。
その共通認識は本当に強固です。簡単になくならないし、少しの手間ひまをかければアウターブランディングに繋いでいくことができます。
デザイナーとしての経験が生きるシーン
デザイナーとして培った能力はブランディングに役立ちました。
インタビューを行って働く人一人ひとりの抱えている働き方の問題や理想を深堀りしていく共感力。
相手の考えていることを素早くビジュアライズしてあるべき場所に導いていくグラフィックファシリテーション。
ユーザー体験を把握し、社内から湧き上がってきたあるべき姿をどうサービスや商品に転換していくかを考える思考など。
大学教員としての経験が生きるシーン
もう一つブランディングワークショップに生きているのは10年の大学教員としての経験です。
社会人向けの経営学部の准教授をしていると本当にいろんな業界の人達の仕事の悩みや夢と現実を聞くことができます。
その実体を把握しつつ、どうやって抱きやすい理想のイメージを作り上げていくか、多分この経験がなければもっと難しかったと思います。
加えてデザイン思考のワークショップを多くの現場で行ってきたためKJ法をつかった情報の分析手法をアシストすることができました。
働く人と消費者が同じ世界感を共有する
もちろんインナーブランディングだけでいきなり愛される商品やサービスが生まれるわけではなく、そこを土壌として自由でのびのびとした発想を使って自分たちらしいものづくりをしていく必要があります。
提供者と消費者の間のギャップを理解しながらも、最終的には同じ世界感を共有して目指していけるようにしていきたいと思っています。
最後にちょっと自己紹介。
今回のようにデザイン思考を活用した事業創造ワークショップやコンサルティングを請け負っております。
わたくしのデザイナーとしての制作物はこちら。
#デザイナーの頭の中 書いてます!
デザインについてのお話、他にもありますので興味があったら。