レビュー『小商いのはじめかた 身の丈にあった小さな商いを自分ではじめるための本』
なぜだか、黄色い本にひきつけられる。
内容に興味がなくても、「カバーが黄色い」からというだけで本を買うことも。
なんじゃそれ?と思われるかもしれないが、いままでの経験上、不思議と黄色い本にハズレは少ないように思われる。
そんな黄色い本のうち、最初はあまり期待していなかったけれど、読んだら面白かった本をご紹介。
本書の「小商い」とはなにかというと、初期投資やリスクの少なく、身の丈にあった小さな商いのこと。
「小さな商いを自分ではじめるための本」とあるが、事例がメインなので、「小さな商いをはじめた人たちがどうやっているか」がより正確。
サラリーマンだけど土日に自分の興味・技能を活かして副業をはじめたい人や、フリーランスで自前のサービスをつくりたい人には参考になる一冊だ。
18組のさまざまな背景をもった人びとのライフストーリーが描かれ、それぞれが身近なところから商いの種を見つけていることに驚かされる。
個人的におもしろいと思ったのは、旅する本屋の放浪書房、つぼ焼き芋屋のやきいも日和、毎日パクパク食べられる無添加のアメリカンケーキを販売するPOMPON CAKESの3組。
この3組からは、とにかく「何かをはじめてみる」ことの大切さを学んだ。
いきなり他の人に聞く前に、まず自身が仮説を立てて小さい範囲でやってみたり、実践している人のモノやサービスを買って研究してみるといった、はじめるためのヒントも書かれてある。
他にも、フリーマーケットや青空市での出品をテストに使う、住んでいる環境を生かす、自分が欲しいサービスを形にする、地域差を利用する、ネットを利用する、といったアドバイスも盛りだくさん。
正直、自分に置きかえて実践できるものが多いかと言えばそうでもなく、マネをすることは簡単ではない。
しかし、「小商い」のワクワク感が伝わってきて、会社に依存せずに生きていく活力をあたえてくれる。
今までモノやサービスを自分で売る経験を持たない、ぼくのようなふつうの個人には響くのではないか。
さらには巻末に「小商い便利帳」がついており、各種の手続きや資格、索引をまとめてあるんで親切だ。