レビュー『カラマーゾフの兄弟3』
ついに『カラマーゾフの兄弟』の第三巻を読み終えました。
お風呂と、電車での移動のさいにちまちま読みすすめて、読破するまでに約1か月ぐらいかかりました。
ゾシマ長老の死に呆然とする三男・アリョーシャと、長男・ドミートリー(ミーチャ)の取り調べ(父・フョードルの殺害容疑)がメインとなっています。
第3巻は第2巻にくらべ宗教・哲学的な会話はあまりありませんが、ついに事件が勃発し、物語が大きく動き出します。
本書でいちばん印象にのこっているのが、人間の複雑さみごとに描き切っているドストエフスキーの人物描写力です。
とくに、事件の渦中にいる長男・ドミートリーの破天荒な行動におどろかされ、彼の一挙手一投足から目が離せません。
彼の素朴さや、突飛な行動力、愛する人へのアプローチや、恥やうしろめたさの感覚、そして父親への嫉妬と憎悪。
彼の行動は、平凡な自分からみたら「なんてバカなことするんだろう?」と不思議に思うことばかりですが、なぜか「この男ならそうしかねない」と納得させられます。
それほどのリアリティーをもってドミートリーという人物が描かれています。
この光文社古典新訳文庫の訳は読みやすく、いままで『カラマーゾフの兄弟』を読もうと思い挫折してきた人にはオススメです。
明日から第4巻をよみはじめます。
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