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レビュー『世界の素描 1000の偉業』

少し休憩したいとき、眺めるのに最高の本がこちら。

13世紀から20世紀までの西洋絵画の巨匠が描いた素描が、1000枚もおさめられている。

素描の描き手は、ダ・ヴィンチ、モネ、ピカソ、マグリットといった、そうそうたるメンツだ。

ふだんは美術館で飾られている絵画のほうが目立ち、目にする機会も多い。

しかし素描となると、あくまでも陰の存在で、なかなかお目にかかることはできない。

そんな素描にスポットをあて、名画の知られざる習作や、著名画家たちの逡巡の軌跡をじっくりと堪能することができるのが本書。

絵を書いている者ならわかるのだが、完成した絵画よりも、下書きのクロッキーや素描のほうが躍動感にあふれているときがある。

ひとつとして同じ線は描くことができない。

それに、素描では複数の線によって補完されていたり、逆に不要な線が省かれており観る者の想像力で補完される。

すると素描にこそ、画家のそのときの感情が、一瞬で写し取られたかのような躍動感に満ち溢れているものが生まれる。

また、なによりも1000枚というボリュームは圧巻だ。

見開き2ページで1枚から8枚くらいまでの素描が納められている。

全体的にいうと、だいたい2ページに4枚程度が配置。

ディテールをみるにも不自由しない大きさで、きっとお気に入りの一枚が見つかるはずだ。

さらには、美術史に詳しくなくても、各年代の特徴も短く解説してあり、美術史の基礎を素描をとおして学ぶことも可能だ。

恐ろしいのは、小休憩で一度本書を開くと、なかなか閉じることができないことだろう。


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